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姫路伝統の「黒桟革」を使ったバッグや靴=姫路市花田町小川、坂本商店
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姫路伝統の「黒桟革」を使ったバッグや靴=姫路市花田町小川、坂本商店
牛革を染めた前實製革所の「姫革友禅」=姫路市花田町高木
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牛革を染めた前實製革所の「姫革友禅」=姫路市花田町高木
パリ・コレクションで山地正倫周氏が披露した黒桟革のブルゾン(RYNSHU提供)
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パリ・コレクションで山地正倫周氏が披露した黒桟革のブルゾン(RYNSHU提供)

 兵庫県の播磨地方伝統の皮革産業が世界のアパレル業界で躍進している。製品がパリ・コレクションの衣装に採用されたメーカーや、京都の友禅染とのコラボレーションで国際展示会に出展した業者も。業界関係者の評価がPRにつながり、海外ブランドからの注文も増えた。外国産に押されてきた地場産業が、高い技術力で世界に羽ばたいている。(井沢泰斗)

 1月、パリコレで27年間作品を発表し続けるデザイナー山地正倫周氏のブランド「RYNSHU」のショーに、姫路伝統の「黒桟革(くろざんがわ)」を使ったブルゾンが登場した。革を提供したのは、大正末期創業の坂本商店(姫路市花田町小川)だ。

 何層にも漆を塗り重ねて深いつやを引き出す黒桟革。RYNSHUを愛用する歌手の長渕剛さんのプロモーション映像をテーマにした作品は、上品な輝きの黒桟革に日の丸のTシャツを合わせたスタイルで、会場の注目を浴びた。

 「涙がこぼれた」。初めて観客席に座って見た2016年のパリコレ。坂本商店の坂本弘社長(62)は、自社の革を使った衣装の登場が脳裏に焼き付いているという。主力商品は剣道の竹刀や防具に使う素材だったが、次第に外国産に押されて売り上げが低迷し、転進を図ったのがアパレル業界だった。

 国内外の見本市に精力的に出品し、3年前からパリコレで採用され続けたことで風向きが変わった。最近は海外ブランドからの問い合わせや商品サンプルの依頼が直接舞い込む。14年は売り上げの9割が剣道用の素材だったが、16年にはアパレル素材が7割を占めた。

 京都の染色業者らと連携し、自社ブランド「姫革(ひめかわ)友禅」を世界最高峰のファッション素材見本市「プルミエール・ヴィジョン」(パリ)に出品するのは、前實(まえみ)製革所(同町高木)だ。

 靴やかばんの素材を生産してきたが、国内市場の縮小に伴い、生き残り策として自社ブランドの確立を目指した。主流のラミネート加工やインクジェットではなく、染色による色付けが可能な牛革を開発し、自然な風合いを実現した。

 同社の前田大伸社長(51)は「アパレル業界で、これまでタンナー(製革業者)の名前が前に出ることは無かった。海外で認められることが生産者の誇りになり、後継者不足の解決にもつながれば」と期待を込める。

■伝統産業ブランド化に活路

 兵庫県西部を中心に皮革業者が所属する県皮革産業協同組合連合会(姫路市)の加盟社は、1970年代の約430社から、267社にまで減った。皮革はこれまでかばんや靴などの素材に重宝されていたが、安価な中国産やベトナム産に押され、今や国産皮革の国内シェアは1桁台に縮小した。

 同連合会の北野和夫事務局長(71)は「西播磨の皮革は零細企業が多い。需要が減った今、有名ブランドと連携して販路を拡大するなど、特色ある仕事が求められている」と語る。

 「タンナー」と呼ばれる製革業者にとって、従来は仕入れた原料の皮をなめし、各メーカーに納めるのが一般的だった。市場が縮小する中でビジネスモデルの変化を強いられ、近年は、友禅染と共同開発する前實製革所や馬皮の希少部位から取れる「コードバン」を使った製品を展開する新喜皮革(同市)のように、製品化までを自社で担う業者が増えている。

 地元企業を支援する姫路商工会議所も皮革メーカーに異分野での販路開拓を提案し、新技術や試作品の開発、展示会出展などの費用を補助してきた。坂本商店などブランド化の成果も表れつつある。同商議所の担当者は「売る相手を考え、徹底的に付加価値を生み出していくべきだ」と強調する。

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