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多彩な書籍が並ぶ店内。手前右に見えるのがコンビニ部分の棚=加西市北条町横尾
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多彩な書籍が並ぶ店内。手前右に見えるのがコンビニ部分の棚=加西市北条町横尾
真夜中に店内から光が漏れる「ファミリーマート+西村書店加西店」=加西市北条町横尾
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真夜中に店内から光が漏れる「ファミリーマート+西村書店加西店」=加西市北条町横尾

 若者の活字離れやインターネット販売の普及、人口減少などで書店を取り巻く環境が厳しさを増す中、兵庫県加西市で昨年夏に誕生した書店とコンビニの一体型店舗「ファミリーマート+西村書店加西店」が順調な経営を続けている。地元で60年以上続く老舗書店と、24時間営業のコンビニが組んだ異色のタッグ。人口4万5千人ほどにすぎない同市にあって、客数と売り上げは書店単体時代の2倍に増えた。(森 信弘)

 「以前はネットで本を買っていた。仕事が夜中に終わっても開いているのがありがたいですね」

 4月下旬の土曜、午前1時前。郵便局で運送部門を担当しているという男性(49)=加西市山下町=は書棚の前で、総合雑誌をじっくり吟味していた。“眠らない本屋”は通常の書店が営業している時間帯に自由が利きにくい人たちに喜ばれているようだ。

 平日の午前にはイートインスペースで、パンやコーヒーとともに購入したばかりの本や雑誌の読書を楽しむ人の姿も。「図書館も利用するけど、繰り返し読む本は買いたい」と話す女性(63)=同市北条町栗田=は「このスペースはゆっくりくつろげて本も読める。利用しない手はない」とほほ笑んだ。

 西村書店は1955年に同市内で創業し、西脇市と兵庫県播磨町にも店舗がある。

 加西店の売り場面積は約710平方メートルで、100坪(約330平方メートル)を超える書店とファミリーマートの一体型店舗は全国初という。書店部分には絵本から専門書まで約10万冊が並んでいる。

 同書店によると、書籍とコンビニ商品を一緒に購入する客の割合は約6割。レジ通過人数と売り上げは書店単体時代の1日平均から倍増した。女性誌や児童書の売り上げも伸びており、田中俊宏社長(58)は「毎年5%ほど売り上げが減って苦しかったが、立ち寄りやすい楽しい空間にできたのでは」と手応えを語る。

 「かつて書店は地域の情報・文化の発信基地と言われたが、もはや書店単独では生き残れない」と田中社長。その上で「いくらネットが普及しても、アナログのサービスは必要。コンビニは高齢者がよく利用するので、(一体型店舗は)高齢化社会にも合っていると思う」と話す。

 ファミマは、ドラッグストアやスーパーなど他業態の専門性を生かした店舗を各地で展開している。同社広報室によると、経営者が同じなど一定の条件を満たした「一体型店舗」の書店は昨年11月末時点で10都府県の11店舗に上る。

 同書店のような老舗と組むメリットについて、同社の担当者は「地域に根ざしているので、住民の好みをつかみやすい。住民にとっても、地域で愛されてきた書店にコンビニの機能が付くことでより使いやすくなる」としている。

■カフェ併設、共用オフィスも

 新刊図書を扱う書店の全国組織「日本書店商業組合連合会」によると、2008年4月に5869店あった加盟店が今年4月には3249店まで減少。兵庫県内では210店が138店に減った。

 今年3月には兵庫県上郡町で店舗があった最後の書店が閉店するなど、地方では「書店のない町」も増えている。出版取り次ぎ大手トーハン(東京)が昨年7月にまとめた調査では、売り場を持つ書店が1店もない市町村・行政区は420に上り、香川県を除く46都道府県にある。

 厳しさを増す書店の経営は多角化が進む。書店の調査をしている出版社「アルメディア」(同)によると、地方ではカフェを併設する書店が増加。化粧品などとともに本を雑貨として扱う店舗もあるという。

 書店の街として知られる東京・神保町では4月、書店や喫茶店に加え共用オフィスも備えた複合施設がオープン。イベントなども行っており、本を通して交流が生まれる場所を目指す。運営するUDS(同)の広報担当者は「本離れが進んでいる若い人にも、本の楽しさを知ってもらいたい」と話している。

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