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「ファンタジー号」船長の久保柚葉さん=神戸港
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「ファンタジー号」船長の久保柚葉さん=神戸港
「神戸-関空ベイ・シャトル」の運航を支える船長の吉田ルリ子さん=神戸市中央区神戸空港
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「神戸-関空ベイ・シャトル」の運航を支える船長の吉田ルリ子さん=神戸市中央区神戸空港

 長く“男社会”と言われてきた海運業界で、女性船員の活躍に注目が集まっている。近年、国や一部の海運会社が女性の働きやすい環境づくりに力を入れ始め、神戸港では女性が船長を務める船も。ただ、海の仕事で女性は依然として圧倒的な少数派だ。女性船員らからは「業界全体の考え方が変われば、もっと女性が活躍できる」との声が上がる。(那谷享平)

 海運会社「早駒運輸」(神戸市)が運航する神戸港発着の観光船「ファンタジー号」は、船長をはじめ船員の大半が女性だ。同社によると、女性船員がメインの船は全国的にも珍しいという。神戸空港などを巡る45分間のクルーズは幅広い世代に人気があり、細やかな心配りの接客が好評だ。

 船長の久保柚葉さん(25)は子どものころから船乗りに憧れていたそうだ。愛媛県の海上技術短期大学校で船舶の運転に必要な「海技士」の資格を取得し、同社に就職。「毎日、天候やすれ違う船が変わり集中力のいる仕事。やりがいを感じる」と笑顔を見せる。

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 国土交通省によると、2016年現在、船員法に基づく日本人船員は2万9827人で、うち女性は2・4%の708人にとどまる。就職率も、11~15年の船員教育機関卒業生で、男性が9割に上るのに対し、女性は7割と厳しい。

 背景には、企業が女性向けトイレや部屋を整えるのをためらうなどの事情があるという。貨物船を運航する2101社に対する調査では66・7%が「女性船員の雇用に消極的」とした。

 しかし、そんな状況をものともしない女性船員が活躍し始めた。「仕事への熱意は男性に負けない」と話すのは、神戸空港と関西空港を結ぶ高速船「神戸-関空ベイ・シャトル」の船長吉田ルリ子さん(34)。

 海上技術短期大学校卒業後、愛媛県の海運会社に就職し、貨物船に勤務した。「荷下ろしなど力仕事のイメージがあるが、機械化が進み、男女の体力差は問題なくなってきた」という。

 結婚・出産でいったん退職したが、その後、ベイ・シャトルを運航する「加藤汽船」(神戸市)に再就職。小学生の子どもを育てながら、同船で唯一の女性船長として安全な海の交通を支える。船の修理に必要な知識を得ようと、電気工事士の資格を取得するなど、意欲的な姿勢は同僚たちに好影響を与えている。

 「女性が働きやすい職場は男性も働きやすいはず」と話し、業界全体の意識改革を訴える。

■全国の女性船員わずか2.4% 人材確保へ登用急務

 女性船員の採用枠拡大や育成は、船員の高齢化に直面している海運業の担い手確保にとっても急務だ。

 国土交通省によると、国内の港で貨物を運送する「内航船」に限ると、船員2万7639人のうち50歳以上が48・2%(2016年現在)を占める。将来、ベテラン船員が一挙に引退することが予想される一方、若手船員育成が追いついていないのが現状という。

 同省は昨年、女性の有識者らの検討会を発足。女性の雇用促進に向け、船員志望の学生に情報発信したり、業者に船内環境の改善に取り組むよう働き掛けたりする提言をした。

 神戸港で女性船員中心の観光船「ファンタジー号」を運航する早駒運輸は、育休・産休制度を設け、女性の働きやすい労働環境を整える。「女性船員の細やかな接客は観光船や客船では特に強みとなる」と強調する。(那谷享平)

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