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土砂が流入した深夜の住宅街で、消防隊員が住民の安全を確認して回った=7月7日午前0時5分、神戸市灘区篠原台
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土砂が流入した深夜の住宅街で、消防隊員が住民の安全を確認して回った=7月7日午前0時5分、神戸市灘区篠原台

 西日本豪雨により各地で大きな被害が相次いでから6日で1カ月。土石流が起きた神戸市灘区篠原台の住民を対象に、神戸新聞社がアンケートを行ったところ、避難勧告の発令を知っていたにもかかわらず、その時点で避難しなかった世帯が8割超に上ることが分かった。逃げることが大前提とされる避難勧告だが、発令が危機意識に結び付かない実態が改めて浮き彫りになった。専門家は「行政が日頃から住民の意識を変える取り組みを」と訴える。

 行政の避難情報に対する避難率の低さは、災害のたびに課題に挙げられる。広島市の県立広島大の調査では、西日本豪雨で大雨特別警報が出された広島市内の避難率は3・6%だった。

 アンケートは、避難勧告の後に避難指示が発令された神戸市灘区篠原台の209世帯(一部は避難勧告の対象外。現在も76世帯に避難指示が継続中)に実施。市が7月5日午前に出した避難勧告を知っていたか-などを対面で尋ね、51世帯から回答を得た。

 自分が住む地域に避難勧告が出たと認識していたのは20世帯。このうち勧告を受けて避難したのはわずか3世帯だった。逃げなかった住民からは、「今まで大きな土砂崩れがなかったから」(30代男性)▽「危なくなるまで待とうと思った」(40代女性)▽「避難指示になったら逃げようと思った」(60代女性)-などの理由が聞かれ、切迫した状況と捉えられていなかった。「妻の脚が悪いから」(50代男性)と、要援護者のいる家族が避難をためらった様子もうかがえた。

 この地域では7月6日夜に土石流が発生、住宅街に土砂や流木が流れ込んだ。急行した消防隊員の判断で避難指示に切り替えられたが、自宅の玄関などが泥で埋まり、出られなくなった住民が多数救助された。

 全回答のうち、避難したきっかけで最も多かったのが「土石流に気付いて」の24世帯。「ゴゴゴーという音を聞いた」「水が滝のように流れてきた」など、異変を察知してから行動を起こした形だ。人的被害はなかったが、「あと2~3分遅かったら車が出せなかった」と話す住民もおり、間一髪の状況だった。土石流発生後、各戸を回った消防隊員の声掛けで避難した、との回答も19世帯あった。

 京都大学防災研究所の矢守克也教授(防災心理学)は「行政は情報発令のタイミングや内容に完璧さを求めるだけでなく、受け取る側が正しく理解できるような啓発を日頃から続けるべきだ」とする。

 一方、避難勧告が出ていると知らなかった世帯が約6割に上り、情報伝達にも課題を残した。市は「緊急速報メールを流しているが、伝え方を検討する必要がある」とする。(若林幹夫)

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