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神戸華僑弾圧事件に関するGHQ報告書を翻訳した四方俊祐・四天王寺大講師=大阪府羽曳野市
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神戸華僑弾圧事件に関するGHQ報告書を翻訳した四方俊祐・四天王寺大講師=大阪府羽曳野市
神戸華僑弾圧事件に関するGHQ報告書のコピー
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神戸華僑弾圧事件に関するGHQ報告書のコピー

 1944(昭和19)年、神戸市で呉服商を営む中国福建省出身の華僑らが警察から拷問を受け、数人が亡くなった。歴史に埋もれかけた事件を後世に伝えるため、生存者の証言が記された連合国軍総司令部(GHQ)の報告書を神戸華僑歴史博物館(同市中央区海岸通3)の研究会が翻訳し、冊子「戦後神戸華僑史の研究」に収めた。報告書は戦後のBC級戦犯裁判用とみられ、容疑者が罪に問われなかった経緯も確認できる。戦時中の警察による華僑弾圧の一端を伝える貴重な資料だ。(金井恒幸)

 報告書はGHQが調べた内容をまとめている。国会図書館で見つけた研究者から「戦後神戸華僑関係資料を読む会」世話人の安井三吉・神戸大名誉教授が写しを譲り受け、同会メンバーの四方(しかた)俊祐(しゅんすけ)・四天王寺大講師が翻訳した。

 報告書によると、華僑11人がスパイ容疑で拘束され、虐待などで拘留中や釈放後に6人が死亡。生存者5人も自白を強要されたという。

 弾圧の容疑者は大阪府警の地方警視や警部補、巡査部長、巡査ら7人とされる。警部補は訴えが取り下げられ、ほかの6人も「一般の秩序混乱」と認定、GHQの戦争犯罪容疑者裁判規定で違法性はないなどとされた。四方さんは「戦争犯罪の規定がナチスに対応していた。捕虜や占領地域の住民への抑圧が処罰対象の中心だったため、無罪となったのではないか」と推論する。

 ただ警部補は他の虐待事件で有罪となり、8年間の拘束重労働が言い渡された。起訴内容には「数多くの中国人戦争捕虜労働者などを酷使、拷問その他の虐待を行った」との記述があり、四方さんは「戦争捕虜労働者という部分が戦争犯罪の規定に該当し、有罪となったのだろう」とみる。

 被害者の証言によると、手首を縛られ天井からつるされて暴行を受けたり、指先に炭火を押し付けられたりした。「空襲時も独房に縛り付けられ、防空壕(ごう)に避難することさえ許されなかった」という。

 事件は一部の被害者や関係者の証言が新聞や本に掲載されたり、BC級戦犯裁判に関する著作で判決の一部が記されたりしたが、全体像は解明されていない。犠牲者は、もっと多いとする説もある。

 祖父が拷問を受けた50代男性は「事件については、父の証言が掲載された本でしか知らない。翻訳を読み、ひどい拷問だと改めて感じた」と話し、「事件を知らない人が多いので、歴史として伝わってほしい」と訴える。

 冊子は同館で閲覧可。同館TEL078・331・3855

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