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金原みわさん=西宮市
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金原みわさん=西宮市

 ペンキが色あせた遊園地、UFOブームの頃で時が止まったままの食堂、カエルとネコの像が無数に並ぶ寺…。有名なキャラクターも多くの観光客もいないけれど、何とも言えない味わいのある場所がある。そんなところを訪ねては雑誌やネットで紹介するのが「珍スポットトラベラー」を名乗る金原みわさんだ。時代や流行とは縁遠い場所にどんな魅力を感じるのか、おすすめスポットと合わせて聞いてみた。(田中靖浩)

 -そもそも珍スポットとは、どんなところを指すのですか。

 「定義は難しいんですけど、先駆者の活動で広がってきたところで言えば(性的な展示物の多い)秘宝館とか、無名の芸術家が独りで何かを作り続けている場所といった、一般的な価値観とは少しずれた、ちょっと違和感を抱くような場所ですかね。私は自分にとって珍しい、なじみがないもの、例えば昭和レトロを感じられるようなところも含めています」

 -これまで訪れた中で、特に印象的だったところはどこですか。

 「一番良かったのは高知県安田町にある『大心(だいしん)劇場』ですね。山の中にある映画館で、大阪から高速バスと列車と徒歩で10時間近くかかるんですけど、映画が始まる前に館長が披露するギターの弾き語りが、心に染み入ります。上映に使うのはフィルムの映写機1台だけで、上映中に手でフィルムをつなぎ替える『流し込み』という技法は、今や日本でここだけだろうと館長が話してました」

 「三重県松阪市の山奥に『虹の泉』という、野球場くらいの広さの陶芸空間があります。東(あずま)健次さんという作家が1978年から制作した天使の像や木のオブジェなど、数え切れないほどの作品が並んでいます。東さんは2013年に亡くなったので未完成のままなんですが、広く世間に知られなくても独りで作り続けた芸術家の思いが詰まっています」

 -兵庫県内でのおすすめは?

 「朝来市の生野銀山はやっぱり面白いですね。銀山ボーイズ(坑道内のマネキン人形でつくるアイドルグループ)のお披露目イベントにも行きましたが、その前からマネキンのシュールさが好きでした。頭蓋骨をテーマにした尼崎市の私設博物館『シャレコーベ・ミュージアム』、世界の名所の石造レプリカが並ぶ姫路市の『太陽公園』もいいですね」

 -珍スポット巡りのきっかけを教えてください。

 「8年ほど前、当時勤めていた会社の同僚と、テレビ番組で紹介されたことのある『淡路島ナゾのパラダイス』を訪ねました。そこでは性器をかたどったご神体とか手書きの格言とか、目に入る全てが性に関わるもので『こんな世界があるなんて。なぜこんなものが作られ、書かれたのか』と衝撃を受けました。それからは休日ごとに、当時『B級スポット』などと呼ばれていた場所を調べては訪ね、そのたびに自分の世界が広がるような気がしたんです」

 「会社に勤めながら珍スポットを訪ねる旅をして、見たものをブログで発信したり写真展を開いたりしました。そのうちに雑誌への寄稿やイベントの開催をするようになり、好きなことだけをしようと会社を辞めました」

 -著書では犬、ゴキブリ、ウーパールーパーなど通常の食材ではないものを食べる「奇食」の体験も書かれています。

 「新しい何かを食べるときの、価値観を食べるような感覚がとても好きで。大人になると価値観が変わることなんてあまりないですけど、食べるだけで価値観が変わることが楽しくて、いろいろ食べましたね。ゴキブリを食べたら『どうしたって生きていける』って思えて、それからは、世の中のいろんなものを受け入れられるようになりました」

 -珍スポット巡りには、どんな意義があるのでしょう。

 「広く知られていないから、大きな媒体からはこぼれ落ちてしまうけれど、どれも確かに日本の断片。そのかけらを拾い集めてみると、壮大なパラレルワールド(並行世界)、もう一つの日本が見えてくるように思います」

【かねはら・みわ】1986年川西市生まれ。武庫川女子大卒。1500カ所以上の珍スポットを訪ね、自身のブログや雑誌などで紹介。著書に「さいはて紀行」「日本昭和珍スポット大全」など。

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