総合 総合 sougou

  • 印刷
20回以上の手術を受けたという山下弘子さん。前向きに闘病を続けたが、母親になるという夢はかなわなかった(前田朋己さん提供)
拡大
20回以上の手術を受けたという山下弘子さん。前向きに闘病を続けたが、母親になるという夢はかなわなかった(前田朋己さん提供)

 受精や妊娠に影響を及ぼす抗がん剤や放射線による治療の前に、精子や卵子などを凍結保存し、出産の道を目指す方法が「AYA(アヤ)世代」と呼ばれる若いがん患者らの期待を集めている。凍結費用の助成制度を設ける自治体が増え、兵庫県議会では6月、経済的支援や情報提供の強化を国に求める意見書が可決された。日本癌(がん)治療学会も診療ガイドラインを作成するなど、支援の動きは急速に広がりつつある。(前川茂之)

 思春期や若い成人を意味する英語が由来で、10代半ばから30代にかけてを指す「AYA世代」。この世代はがん患者の数が少なく、治療の改善や研究が遅れがちといわれる。加えて進学や就職、結婚、出産など世代特有の課題もあるが、支援体制が構築されていない地域も多い。

 一方で、2002~06年に15~29歳でがんと診断された人は、がん以外の死亡の影響を除いた「10年相対生存率」が男性で66%、女性では75%。医療の進歩で向上してきており、将来の出産を考える患者が増えているのが実情だ。

 日本癌治療学会が昨年7月にまとめたガイドラインでは、がん治療を最優先した上で、治療で不妊になるという可能性や、精子や卵子などを凍結保存して治療後に出産の道を探る方法について、患者に知らせるよう推奨。作成に携わった聖マリアンナ医大の鈴木直(なお)教授は「がんのステージによっては凍結、保存が難しいこともある。だが、さまざまなジャンルの人が連携して患者に寄り添っていくことが重要」と強調する。

 がん治療医と生殖医療専門医が連携したシステムも導入され、兵庫県内など全国22カ所の医療機関を拠点に整備。診療科の垣根を越え患者を総合的に支援している。国が昨年10月に策定した第3期がん対策推進基本計画には、AYA世代の診療や支援体制整備の必要性が新たに盛り込まれた。

 滋賀県や京都府、広島県などは、数万円かかる精子凍結の費用に上限2万~3万円、数十万円かかる卵子凍結に上限10万~20万円助成する制度を設けている。兵庫県疾病対策課は「まだ議論する段階までは至っていないが、将来的には何らかの助成制度は必要だと考えている」としている。

総合の最新
もっと見る

天気(10月22日)

  • 24℃
  • 18℃
  • 70%

  • 20℃
  • 16℃
  • 70%

  • 24℃
  • 16℃
  • 70%

  • 22℃
  • 17℃
  • 80%

お知らせ