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視覚障害があるからこそ身に付けた会話のスキルを研修で伝えている常瑠里子さん(右)と研修会社代表の西村由美さん=神戸市中央区
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視覚障害があるからこそ身に付けた会話のスキルを研修で伝えている常瑠里子さん(右)と研修会社代表の西村由美さん=神戸市中央区

 見えないから、見えることがある-。視覚障害がある神戸市の女性らが、相手の表情が分からないハンディキャップを強みに変え、表情やしぐさに頼らない会話術を教える「ブラインドコミュニケーション研修」を開いている。健常者に囲まれて暮らす中で、話の意図や要点を的確に伝えられない人が多いことに気付いた。目が見えないからこそ意識して磨いてきた会話のこつを企業に伝授し、「障害の有無にかかわらず役立つ」と好評を博している。(上杉順子)

 研修会社代表の西村由美さん(35)=大阪府高槻市=と、フリーランスで講師を務める常(つね)瑠里子さん(33)=神戸市中央区。高砂市出身の西村さんは4歳の娘に先天性の視覚障害がある。常さんは2歳の時、はしかで失明した。ともに関西学院大総合政策学部(兵庫県三田市)の卒業生だが、在学中は面識がなかったという。

 西村さんは大手航空会社の客室乗務員を経て、8年前に接遇マナーなどの研修を行う会社を設立した。常さんは、米国のNPO法人でインターンシップ生として勤務後、国際協力機構関西センター(JICA関西、神戸市中央区)に就職し、行政官向けの研修プログラム立案などに携わった。休職してタイで青年海外協力隊員をした経験も持つ。

 西村さんは1年半前、知人に「すごい人がいる」と常さんを紹介された。両目とも明るさを感じる程度なのに、抜群のコミュニケーション能力と語学力で仕事をこなす。1人暮らしの家は整理整頓され、揚げ物料理までする様子に驚いた。

 常さんは最初から周囲とうまく意思疎通できたわけではない。小中は特別支援学校に通学。中学時代、健常者と一緒の習い事で「表情が分からないと会話に入れない」と衝撃を受けた。自分を変えようと、希望して普通高校に進学。自ら意識して話の糸口をつくり、気持ちや意見を言葉にすることで人の輪に入れるようになった。その過程で「どんな感情も口に出さなければ伝わらない」と学んだ。

 「娘が社会に出る時、職業の選択肢がたくさんある世の中であってほしい」と願う西村さん。常さんの経験は「目が見える人にも役立つはず」と講師を打診し、常さんがJICA退職後、今年の初めから本格的に2人で研修内容を練った。

 ブラインドコミュニケーションと呼ばれる研修や訓練は、顔の見えない状況で正確な情報伝達が求められる宇宙飛行士などで導入例があるが、2人のような取り組みは珍しいという。

 言葉足らずによる行き違いは、どの職場でも起こり得る。例えば「資料を作っておいて」との指示に、時間の許す限り完璧な物を作るか、多少粗削りでも早く出すか-。研修では分かりやすい説明の仕方や、相手にうまく聞き返すこつなどを、常さんが経験に基づき助言。早口や「(あれ、それなど)指示語が多い」といった自分の癖の発見、改善にもつなげてもらう。

 これまでに損害保険会社のコールセンター部門やPR会社などで研修を行った。2人は「企業の生産性向上に役立ててもらうだけでなく、障害者への先入観を壊したい。障害者を雇うのは社会貢献ではなく、実際にメリットがあると伝えたい」と力を込める。

 研修会社「美キャリア」TEL072・601・5758

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