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「横尾忠則 在庫一掃大放出展」の会場。展示が間に合わなかったという演出で、壁に立て掛けた状態の絵も並ぶ=横尾忠則現代美術館
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「横尾忠則 在庫一掃大放出展」の会場。展示が間に合わなかったという演出で、壁に立て掛けた状態の絵も並ぶ=横尾忠則現代美術館
会場で女性ボディビルダーのリサ・ライオンを描いた自作を眺める横尾忠則さん(左)
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会場で女性ボディビルダーのリサ・ライオンを描いた自作を眺める横尾忠則さん(左)

 「在庫一掃大放出展」。スーパーや通販サイトの広告ではない。横尾忠則現代美術館(神戸市灘区原田通3)で開催中の展覧会である。随分とくだけたタイトルではある。同館が管理する美術家・横尾忠則さん(82)=西脇市出身=の絵画から、過去に同館で展示したことのない作品ばかりを並べた。ファンでも未見の「知られざる横尾アート」がそろう。館内を特売セール会場に見立てた演出で、遊び心も満載だ。さて、バーゲン会場のように観客が詰めかけるか?(堀井正純)

■セール風演出で未公開昨を一挙展示

 同館は横尾さんからの作品の寄贈、寄託を受け2012年に開館。「動物」「Y字路」「温泉・銭湯」「版画」などさまざまなテーマ・切り口で企画展を毎年数回開いてきた。今回は特別なテーマは設けず、収蔵保管する約500点の絵画から「同館での未公開作」という条件で選定。個人所蔵など3点を加え計77点で構成した。

 同館の山本淳夫学芸課長は「在庫イコール不良在庫では決してない。人に見せるためでなく、自分の楽しみのため描いた絵などもあり、横尾さんの意外な側面を発見できるのでは」とアピールする。

 「大売り出し」の雰囲気を盛り上げようと、会場には幟(のぼり)やちょうちんが並び、「SALE(セール)」とプリントした赤い法被(はっぴ)姿のスタッフがお出迎え。急ごしらえで展示が間に合わなかった風を装い、床置きで壁に斜めに立て掛けたままの絵も。会期中、ちんどん屋によるパレードや演奏会のイベントもある。

 1998年制作の「終末的聖画安売」は本展を象徴する一作だ。「ルルドの聖母」と呼ばれるキリスト教のモチーフを扱った絵で、少女の前に出現した聖母マリアを中心に描く。99年に人類が滅亡すると予言したとされるフランスの占星術家ノストラダムスの肖像も配して、画面には「救済」「奇跡」と「破滅」のイメージが同居する。一方で、全体にちりばめられた50を超える赤い「SALE」の文字がすべてをぶち壊し、ナンセンスな笑いを誘う。「SALE」の文字さえ大安売り。人を食った怪作だろう。

 幅広い年代の作品がそろうが、目立つのは80年代の絵画。奔放な具象的イメージを噴出させた絵が多く、当時、世界的に流行した「新表現主義」「ニューペインティング」と呼ばれた様式とも一致する。今回、それぞれの絵に画家自身の言葉が添えられており、「この頃は主題、様式共に模索中」「様式との葛藤の連続」などと説明。さまざまな実験を繰り返した時代だったことが分かる。

 「なんと変な絵だろう」「気分転換に描いた絵」「福笑いはキュビズムの原点」など、本音をつづった多彩なコメントも楽しい。絵の横には「よくできました」「努力を要す」などのスタンプも押されている。

 「ヤマトタケル」は本人いわく「発表の目的はなかった」作品。2001年ごろ、夕食後に毎日、日記を書くように、自由な題材をその日の気分で描いていたという。横尾さんが大ファンである宝塚歌劇のスターらの肖像画とも共通するが、楽しみながら取り組んだ雰囲気が伝わる。

 「自信作は1点もない」「あまり人に見てもらいたくない作品ばかり」と横尾さんは冗談めかすが、聖と俗、生と死やエロス、笑いが入り交じる独特の世界観は変わらない。絵には、一目で分かる「横尾印」が刻まれている。

 12月24日まで。月曜休館(祝日の場合は開館、翌火曜休館)。一般700円、大学生550円、70歳以上350円、高校生以下無料。阪急王子公園駅西口から徒歩約6分。同館TEL078・855・5607

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