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薪の強い火力で焼き上げるお好み焼きが人気の「高砂」=神戸市兵庫区和田崎町3
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薪の強い火力で焼き上げるお好み焼きが人気の「高砂」=神戸市兵庫区和田崎町3
テコの使い方など指導に熱が入る佐竹真綾学園長(左)=神戸市中央区港島南町3、オリバーソース本社内の若竹学園
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テコの使い方など指導に熱が入る佐竹真綾学園長(左)=神戸市中央区港島南町3、オリバーソース本社内の若竹学園
神戸新聞NEXT
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 お好み焼きやたこ焼きなど「粉もん」の店舗数で全国1位、2位を誇ってきた大阪府と兵庫県で近年、店が大きく減っているのをご存じだろうか。個人経営の「おっちゃん、おばちゃん」が高齢になり、後継者もいないためだ。兵庫にある老舗の店主からも「あと何年続けられるか」とため息が漏れる。店舗数3位の広島県には僅差に迫られ、“粉もんの本場”の看板が揺らいでいる。(段 貴則)

 港町・神戸を流れる兵庫運河そばの下町で、60年近く続くお好み焼き店「高砂」(神戸市兵庫区)。今も鉄板を熱する燃料に薪を使い、ボリュームたっぷりのモダン焼きが人気だ。

 おばから店を受け継いだ安田和子さん(90)は「開店当時は周りにもお好み焼き店が、ぎょうさんあったけどね」と振り返る。どの店も学生や近所の住民でにぎわったが、次第に姿を消していった。

 「みんな年いって、跡を継ぐもんもおらんから」と安田さん。一緒に店に立つ親類の谷喜代子さん(71)も「薪よりガス代の方が安いけど、お金掛けて設備を入れ替えても、あと何年、店やれるかわからんしね」とさみしげに話す。

 事情は、たこ焼き店も同じだ。

 阪神尼崎駅南で約40年続く「たこ焼 岡」(兵庫県尼崎市)。昔ながらの小ぶりなたこ焼きが売りで、値段は創業時と同じ14個200円。春夏の高校野球シーズンには、全国から甲子園球場(同県西宮市)に応援に来た人が店に足を運ぶという。

 「タコでも何でも高なったまんまで、しんどいで。でも、いまさら値上げもでけしませんやろ」と、店主の岡兵次さん(82)と妻幸子さん(79)。お客さんとの会話が張り合いといい、「店は体の続く限りやな」と達観したように笑う。

 数字もこうした苦境を裏付ける。国内全ての企業・事業所を対象にした国の統計「経済センサス」によると、「お好み焼き・焼きそば・たこ焼き店」の事業所数は、2009年調査の1万9480事業所から、16年調査は約2割減の1万5647事業所。都道府県別では大阪が23・1%減、兵庫も25・7%減った。

 一方、広島の減少幅は9・2%と小さい。その理由について、広島県観光課は「地元ソース会社など民間による、お好み焼きを普及させる草の根の取り組みが盛んなため」と胸を張る。

 「広島はお好み焼きを〈広島焼き〉として地元のソウルフードに位置づけてきた。一方の関西は、お好み焼きやたこ焼きの存在が当たり前すぎて、深く意識してこなかった」

 著書に「神戸とお好み焼き まちづくりと比較都市論の視点から」がある武庫川女子大の三宅正弘准教授(美食空間学)はそう指摘した上で、「『粉もん』とひとくくりにせず、神戸焼きなどの名前で街の味を残そうと意識しなければ、関西の粉もん文化は失われかねない」と危機感を募らせている。

    ◇     ◇

■“ソース王国”神戸では新規開業を後押し

 お好み焼きやたこ焼きに欠かせないソースの製造会社が多い神戸では、粉もん店の新規開業を後押しする取り組みも始まっている。

 「豚玉のバラ肉は、テコでこすって金属音が聞こえるくらいカリカリに焼く」「お好み焼きにソースを塗るのは鉄板上で。酸味が飛び、味がまろやかになる」

 粉もん店の開業希望者に仕込みの手順や焼き方などを教える若竹学園。神戸市中央区のオリバーソース本社内にある研修センターの鉄板を囲み、佐竹真綾学園長が丁寧に指導する。近年の「生徒」は30~50歳代の男性が多いという。

 同学園は1967年に大阪で創業し、これまでに6300人以上が卒業。実績を見込んだオリバー側が「粉もん文化を神戸から発信したい」(道満雅彦社長)と持ちかけ、今春、研修センターを大阪から移した。

 NHK連続テレビ小説「てっぱん」でお好み焼きの監修を担い、「にっぽんお好み焼き協会」(事務局・神戸市中央区)の会長も務める佐竹学園長。粉もん店の減少が続く中、「新規開業を後押しすることで、業界や粉もん文化の活性化に役立てば」と意気込む。(段 貴則)

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