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兵庫県内で見つかった強制不妊手術の個人記録。全体の被害者数から見ればほんの一部で、実態把握は進んでいない(撮影・吉田敦史)
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兵庫県内で見つかった強制不妊手術の個人記録。全体の被害者数から見ればほんの一部で、実態把握は進んでいない(撮影・吉田敦史)

 旧優生保護法(1948~96年)下で障害者に不妊手術が繰り返された問題で、厚生労働省が全国の医療・福祉施設を対象に、手術の個人記録が残っているかを尋ねたところ、兵庫県内で「ある」と答えたのは2カ所だけだったことが関係自治体への取材で分かった。記録は2カ所とも1人分で計2人分にとどまる。個人が特定できない国や県の統計では、旧法により兵庫で約350人が手術を強いられたとされているが、被害の実態を把握する難しさが改めて浮き彫りとなった。(田中宏樹、田中陽一)

 厚労省は旧法による被害救済策を検討する超党派議員連盟などの要請を受け、全国調査を実施。7月、歯科を除く全ての医療機関や障害者関連の福祉施設に個人記録の有無を尋ねるよう、都道府県などに求めた。早ければ10月中にも結果を取りまとめて公表する。

 兵庫県の調査は、神戸、姫路、尼崎、西宮、明石市がそれぞれの市内、県がそれ以外の地域の施設を担当。対象となった計4507カ所のうち「ある」と回答したのは、県と西宮市が調査した1カ所ずつだった。

 ほかに7カ所(内訳は県=3カ所▽神戸市=2カ所▽姫路、尼崎市=各1カ所)が「ある可能性がある」とし、不妊手術が行われていた時期には既に施設が開設されていたことなどを主な理由に挙げた。残りは「ない、またはない可能性が高い」か無回答だった。

 ただ尼崎、西宮両市は調査の際、本来の方針に反して、対象を産科や婦人科などに限定していた。このため国などの指摘を受けて現在、他の医療機関についても調査を進めており、結果が修正される可能性もある。

 超党派議連や自民、公明両党の合同ワーキングチームは、個人記録が残っていない場合も幅広く救済対象に含める方向で検討しており、来年の通常国会への関連法案提出を目指している。

   ◆

 一方、厚労省の全国調査と別に、県が独自に調査した結果、神戸市北区の「県立ひょうごこころの医療センター」で、不妊手術を受けた少なくとも十数人分のカルテが見つかったことが、県への取材で分かった。

 県は当初、個人を特定できる資料は「残っていない」としていたが、被害者を支援する弁護団が8月、県政資料館(神戸市中央区)で個人名入りの記録が24人分見つかったと発表。うち5人が同センターの前身の県立病院で手術を受けていたことから、急きょ調査した。カルテの記載内容から、不妊手術を受けたと判断できるケースが十数人分見つかったという。

 しかし、厚労省の全国調査との矛盾も生じている。

 神戸市内にある同センターは、厚労省調査では同市の担当施設となる。だが同市は、市内で個人記録が「ある」と回答した施設は、同センターを含めてゼロだったとしている。

 このため厚労省がまとめる全国の調査結果で、同センターが計上されない可能性があるが、同市は「各施設の回答内容は明らかにできない」などとしている。

【旧優生保護法】 「不良な子孫の出生を防止する」ことなどを目的に掲げ、知的障害や精神疾患、遺伝性疾患を理由に強制的な優生手術(不妊手術)を認めた法律。議員立法により1948年に施行され、96年に優生手術などの規定が削除されるまで、全国で約1万6500人に強制手術が行われたとされる。ほかに約8500人が「同意あり」として手術を受けたが、実態は強制だったケースもあるとみられている。今年に入り被害者が国家賠償を求める動きが活発化し、神戸や仙台、東京、大阪地裁などで訴訟が起こされている。

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