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たまおか・かおる 作家。1956年三木市生まれ。神戸女学院大卒。織田作之助賞を受けた「お家さん」など著書多数。2003~06年に神戸新聞「読者と報道」委員会委員。加古川市在住。
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たまおか・かおる 作家。1956年三木市生まれ。神戸女学院大卒。織田作之助賞を受けた「お家さん」など著書多数。2003~06年に神戸新聞「読者と報道」委員会委員。加古川市在住。

 今年は台風の連続で、豪雨が去った翌朝も電車が動かなかったりした。だが新聞だけはポストにきっちり届いていた。そして、遠い被災地、近くの被害、マクロとミクロの視点を組み合わせながら、リアルな紙面で事実を知らせてくれた。

 このきまじめさ。思えば阪神・淡路大震災の時、自ら被災しながら満身創痍(そうい)で新聞を発行したのが神戸新聞だった。それは1898(明治31)年の創刊以来、先人たちが、人の足で、手で、熱をもって作り築いた使命という名の習慣であろう。

 「神戸新聞まつり」はそんな歴史の標(しるべ)の日だ。とはいえどんな歴史も主役は人間だから、新聞ならではの人脈で、まず人が楽しむ多彩なイベントが開催された。

 文化面、スポーツ面に登場する著名な方々のトークショーや、地域で活動するアーティストのコンサート。紙面で知っていた方々がより身近になり応援が楽しくなる。神戸新聞子育てクラブの「すきっぷフェスタ」では、子供たちのエネルギーに元気をもらったし、災害時、子連れの避難グッズを提案するママたちのワークショップに感心もした。また過去半世紀の新聞から気になる1面記事などを選んでオリジナルの新聞を作る「タイムトリップ神戸新聞」もおもしろかった。過去のニュースは現在につながる起点だという発見があり、紙という媒体に刻む現在時制が、先で歴史の手がかりになると確信できた。

 そういえば当日の朝刊の別刷り「新聞の可能性」では、神戸新聞の記者たちがどうすれば新聞をおもしろくできるか、さまざまに試みていた。あがきはわかる。時代が変わればそれに応じて新聞も新しくならねばとの危機感も大きいだろう。だが地元メディアは、そこに生きる人と人に触れてこそナンボ。土地と人とを熟知し、どれだけ共感をもって伝えられるかに尽きることを忘れてほしくない。

 その意味で、地域の色を読者に募った「ひょうご五国の色・二十色」はまちがいなく今後の座標になるだろう。言葉で表せば難しい播磨、但馬、摂津、丹波、淡路の五つの国の特徴が、感覚として掴(つか)めるのだ。たとえば播磨では「ため池ターコイズ」が入ったから、新しく住民になった人もきっと今後もこれを大事に守ろうと意識していくに違いない。

 自分のふるさとの、どの色を守り、どう塗り替えるかは未来の仕事。自分一人ではできなくとも、人をつなぎ声を広めてうねりを作る新聞ならば可能性はある。まつりはひとまず終わったが、ここからが出発だ。

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