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更生保護施設の1人部屋。夜は冷え込む=神戸市内
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更生保護施設の1人部屋。夜は冷え込む=神戸市内

 刑務所を出所しても、行く当てがなく、職にも就けない人は少なくない。法務省によると、刑事施設から仮釈放となる人の約3割が更生保護施設で暮らす。

 同施設は全国に103カ所あり、国の委託で法人などが運営。社会復帰を目指す出所者や非行少年らを一定期間保護する。

 神戸市内の更生保護施設「神戸寮(仮名)」を訪ねた。築31年の鉄骨2階建て。古いアパートのような玄関扉を開いた。

 「おかえり…あ、どうぞ入ってください」。事務所の受付窓が開き、施設長の多田誠(68)=仮名=が出迎えてくれた。取材の条件は、寮の名前や所在を明かさないこと。「世間は厳しいですから」と多田がいう。

 定員は男性17人。15人が暮らしていた。規則は厳しく、外出の際は部屋の鍵を預けなければならない。門限は午後10時で飲酒は禁止。「薬物依存だった人には任意の尿検査もあります」と多田。正職員4人のうち、3人が元矯正施設職員。「スケジュールや金銭の管理も指導します。口うるさくね」と付け加えた。

 午後5時、ごま油のいい匂いが漂ってくる。食堂で調理師の女性がビビンバ丼を仕込み中。撮影しようとすると、「最近、流しの後片付けが悪いから、注意書きを置いたところなの」と苦笑い。ボードに「怒らすと、ご飯がまずくなりますヨ」の文字。「怒っても仕方ないから。優しく伝えないとね」とほほ笑む。

 部屋は約3畳。ベッドとテレビ、エアコンを備えてあるが、隙間風で冷える。玄関の扉が開く音がした。

 「はーい、おかえり」。午後6時半、新入りとおぼしきジャージー姿の男性が険しい顔で帰ってきた。職員が「(現場仕事の)初日どやった」と聞きながら鍵を手渡す。「6年間働いてなかったから。しんどかったです」と男性。「風呂沸いてるよ」と職員がねぎらう。男性は頭を下げ、階段を上がって行った。

 足音を聞きながら多田がいう。「ここは、塀の中と外の中間みたいな場所。居心地が良くても困るんです。おかえり、ただいまって言い合うけど、再び帰って来てほしくはないですね」

 取材を終え、寮の外へ。明かりが漏れる食堂が気になった。窓からのぞくと、新入りの男性がさっぱりとした顔をして丼をかき込んでいた。(敬称略)

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