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台車枠に入った亀裂(JR西日本提供)
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台車枠に入った亀裂(JR西日本提供)
厳しい表情で台車亀裂問題の調査結果に関する会見に臨むJR西・来島社長=2017年12月、大阪市北区
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厳しい表情で台車亀裂問題の調査結果に関する会見に臨むJR西・来島社長=2017年12月、大阪市北区
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亀裂部分の説明をする川崎重工業=2月28日夜、神戸市中央区東川崎町1、川崎重工業神戸本社
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亀裂部分の説明をする川崎重工業=2月28日夜、神戸市中央区東川崎町1、川崎重工業神戸本社

 山陽新幹線博多発東京行き「のぞみ34号」が昨年12月、台車が破断寸前の状態のまま走り続けた問題は11日で1年となる。国の運輸安全委員会が新幹線で初めて重大インシデントに認定し、JR西日本(大阪市)のずさんな安全管理体制、川崎重工業(神戸市中央区)の製造ミスなどが次々と発覚。両社は再発防止に向けさまざまな対策を打ち出しているが、信頼回復は道半ばだ。

■現場判断で停車点検、連携に課題<JR西日本>

 台車に亀裂の入ったのぞみは乗務員らが30件の異変を認識しながら運行を続けた。これを教訓にJR西は車両保守担当を拡充した。

 岡山、広島駅に2人ずつ配置した保守担当は移動中の車両に乗り込み設備などの不具合を点検する。2月に配置された岡山駅の保守担当は、乗務員らの申告を受けて84回添乗。うち7回は実際に新幹線を止めて点検した。

 4月、岡山からのぞみに乗り込んだ担当者が16号車で「ブーン」という音に違和感を覚え、三原-東広島間で緊急停車を求めた。線路上で床下点検し問題がないことを確認。約30分後に運転を再開した。JR西は「多くの社員が『正常でない状態』を自ら判断できるレベルまで高める」という。

 意思疎通の欠陥も明らかになった。保守担当が「床下点検をすべき」と提案するも、やりとりをした東京の指令員に伝わっていなかった。また、JR西の指令員の隣にはJR東海の指令員がいたが、一連の異変が共有されることはなかった。

 そこでJR西は、指令員が使う電話にスピーカー機能を付け、乗務員との会話が複数人でやりとりできるようにした。保守業務経験者も配置し、認識のずれを防ぐという。このほか人工知能(AI)による走行音の異変検知なども進める。

 乗客106人が犠牲になった尼崎脱線事故後もさまざまな再発防止策が打ち出されたが、台車亀裂問題を防げなかった。今年6月には、人身事故で運転士が衝突音を聞きながら報告せず、床下点検も実施されなかった。

 外部検証の有識者会議で座長を務めた関西大の安部誠治教授(交通政策論)は「策を打つのはゴールではなく出発点」とし、「組織は数年で担当者が入れ替わる。意図や方針をどこまで浸透させられるのか。相当な執念を持って取り組まなければならない」と強調した。

 有識者会議は指令所などでの取り組み状況を順次聞き取っており、18年度中に結果をまとめるという。(竹本拓也)

■車両製造「勘頼み」脱却<川崎重工業>

 川崎重工業(神戸市中央区)は台車亀裂について、現場の判断で作業指示を守らず、規定を超えて台車枠を削ったのが主な原因とし、経験や勘に頼ってきた品質管理を抜本的に見直すことにした。目指すのは、誰が作業をしても同様の品質になる仕組みづくりだ。

 問題の台車枠は2007年に兵庫工場(同市兵庫区)で製造。作業指示が製造監督者や作業者に十分に周知されず、製造現場の誤った判断を見逃した。

 再発防止策として、製造作業を標準化・可視化する生産管理手法で、バイクなど量産品で実績のある「カワサキ・プロダクション・システム(KPS)」を車両部門に本格導入する。

 製造工程を細分化。それぞれに標準時間を設定することで作業指示を順守させ、指示を逸脱したつくり方となるのを防ぐ。

 例えば溶接作業は五つの工程に分ける。作業時間が標準より短ければ「抜け」がないかをチェックし、長ければ原因を調べて作業の改善につなげる。

 さらに、KPSが適切に運用されているかどうかを確認・監視するため、品質保証部門の権限を強化する。各業務を横断的に監視する役割を担わせる。

 一方、国の運輸安全委員会は台車亀裂の原因として、削り込みによる寸法不足を補う「肉盛(にくもり)溶接」の後処理に不備があった可能性を指摘。07年当時はこうした作業を記録に残す社内規定はなかった。現在は記録に残しているという。

 同社は台車亀裂問題後、全社的な品質管理体制の点検を実施したが、他の製造工程に不備のある事例は見つからなかったという。(横田良平)

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