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神戸市須磨区、落合クリーンセンター
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神戸市須磨区、落合クリーンセンター

 工場や建築、トンネル、産業遺産などを訪ねて知的好奇心を満たす「社会科見学」が人気となって久しい。多くの工場が見学場所を整え、外国人観光客にも好評だ。脚光を浴び始めた十数年前、仕掛け役の一人として注目されたのが小島健一さん。今、名刺に「見学家」と記し、鹿児島を拠点に各地を飛び回る。社会科見学の面白さは? 兵庫のおすすめスポットは? 神戸を訪れた際に、いろいろ聞いてみた。(田中靖浩)

 -「見学家」とは聞き慣れない肩書です。どんな仕事を?

 「社会科見学の本を出したり、雑誌に記事を書いたり。旅行会社に見学コースを提案し、ツアーの案内役も務めます。テレビ番組の取材があれば撮影に適したロケーションなどを紹介します。収入の比率が高いのはカメラマンとしての仕事ですかね」

 -社会科見学に携わるようになったいきさつを教えてください。

 「2004年に会員制交流サイト(SNS)で、ギョーザのチェーン店へ食べに行く仲間を募ったら、二十数人が集まったんです。そこでSNSが人を集めるのに有効であることを知りました」

 「同じ頃、東京都心の地下で電気、ガス、水道といったライフラインが集約されている日比谷共同溝を見学するイベントに参加しました。そこで映画の世界のような美しさ、格好良さに圧倒されました。同時に、こんな巨大なものが人の手で造られ、私たちの生活を支えているということを知り、驚きました。また見に来たい、そのためには人を集めなければと思い、『社会科見学に行こう!』というタイトルでSNSのサービスやブログを立ち上げました」

 -これまで、どんなところを見学してきたのですか。

 「ずっと埼玉に住んでいたので首都圏の食品工場、発電所、地下鉄や高速道路の建設現場などが多かったですね。04年から11年までに200回以上行きました。僕が見学したいところへ参加者を募って行くので、見学自体でお金を取ることは基本的にしません」

 「活動が新聞やテレビで取り上げられると、SNSのフォロワーが飛躍的に増え、募集40人のイベントが2時間で埋まることも。そういう状況を出版社が見ていて、一眼レフカメラを買って4年ほどで『見学に行ってきた。』という写真集を出しました」

 -特に印象的だった場所は。

 「まずは地元の埼玉県春日部市の地下トンネル。ここの首都圏外郭放水路はコンクリートの柱が林立し、神殿のよう。しかも僕自身が受益者。というのも付近で大雨が降ったらここに流れ込み、洪水を未然に防いでいるのです」

 「かつて炭鉱だった長崎市の離島、池島は廃虚、地下、重機など僕の好きなものばかり。ぜひ活用したいと思って11年から約3年間、地域おこし協力隊員として島で暮らしました。ブログで魅力を発信したり、映像制作者やイラストレーターなどのクリエーターを見学に呼び込んだりして、来島者数は10倍以上に増えました。15年には、NHKの人気番組『ブラタモリ』でタモリさんを案内しました。池島で、産業遺産の保存・活用を手掛ける神戸のNPO法人、J-ヘリテージの方々とも知り合い、それからたびたび兵庫を訪れるようになりました」

 -では、兵庫でおすすめの見学スポットといえば?

 「まずは明石海峡大橋。海流の速いところで、あんなに巨大なものをよく造ったなと。主塔最上部からの眺めはもちろん、橋桁のトラス構造もきれい。駅から近く、見学コースが整っています」

 「生野銀山も行きやすいですね。近頃は『銀山ボーイズ』などの売り出し方が面白い。生野の街並みもいい。景観を残すと地元が決断したからでしょう」

 -社会科見学の魅力について、もう一言。

 「東京湾のごみ処分場に行ったとき、あと20年ほどで満杯だと聞いた。そして、においや音を感じながら『ごみの量を減らせないか』と頑張って働く人たちの姿を見ました。社会科見学は人の生き方を学ぶ場でもあるんです」

【こじま・けんいち】1976年埼玉県生まれ。20代で社会科見学を開始。2014年から2年半、長崎大で軍艦島3Dデータ作成プロジェクトに携わる。著書に「社会科見学に行こう!」など。

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