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厚生労働省から対象者に届く案内チラシを手にする大阪アスベスト弁護団の伊藤明子弁護士=18日午後、大阪司法記者クラブ
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厚生労働省から対象者に届く案内チラシを手にする大阪アスベスト弁護団の伊藤明子弁護士=18日午後、大阪司法記者クラブ

 アスベスト(石綿)の健康被害を救う大阪・泉南アスベスト訴訟最高裁判決を受け、厚生労働省は昨年10月から賠償対象となる全国の被災者2107人について国賠訴訟を促す案内を送ったが、今年11月末までに提訴したのは被災者603人の遺族らにとどまる。大阪アスベスト弁護団が18日会見し、「まだ被害が埋もれている。心当たりがあれば相談を」と訴えた。

 同省から個別周知の状況を聞き取って発表した。全国2107人のうち、兵庫県内の事業所での被災者は244人に上り、各都道府県で2番目に多い。同弁護団は「兵庫はクボタやノザワなど石綿を扱う工場が多かった」と指摘する。

 最高裁判決を踏まえ、国が賠償対象とするのは1958年5月~71年4月に石綿粉じんを吸う作業に就き、中皮腫や肺がんなどの関連疾患にかかった労働者や遺族ら。被災者側が提訴すれば和解し、国が最大1300万円に加え、遅延損害金や弁護士費用を支払う。

 今年11月末までに被災者343人の遺族らに計約54億円を国が支払う内容で和解が成立している。

 同弁護団は「2016年度以降に労災認定された対象者への周知は始まっていない。対象者の一部には住所不明などで案内が届いていない。高齢者が案内を詐欺と警戒することもある」と指摘。一方、周知がなくても和解は可能で、実験室で石綿を扱って中皮腫を発症した研究者の和解が成立済みという。

 自動車整備業務の被害で和解した事例も公表した。同弁護団によると全国初。大阪府の男性(75)は62~77年に大阪トヨタ自動車の営業所などでブレーキやクラッチの部品交換をして肺がんを発症し、11月末に国が1265万円を支払う内容で和解した。同弁護団は「当時の部品には石綿が多く含まれていた」と注意喚起する。相談は同弁護団TEL090・3273・0891(平日午前10時~午後6時)

(小林伸哉)

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