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瀬戸内海を犬かきのようなしぐさで泳ぐイノシシ=2018年11月、愛媛県四国中央市の約3キロ沖(今治海上保安部提供)
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瀬戸内海を犬かきのようなしぐさで泳ぐイノシシ=2018年11月、愛媛県四国中央市の約3キロ沖(今治海上保安部提供)

 2019年のえと、イノシシが、西日本各地の島へ泳いで渡って生息域を広げている。専門家の調査では、兵庫など18府県の110島に、海や湖を渡ったとみられるイノシシが存在し、多くは2000年以降にすみ着いたという。山にいる印象が強いが、海外では「グッド・スイマー」と呼ばれるほど泳ぎ上手で、狩猟者の育成や水際対策が急がれる。(上田勇紀)

 「サツマイモが食べられとる」

 兵庫県南あわじ市の離島・沼島(ぬしま)の住民から、市への被害報告が相次ぐようになったのは約3年前。家庭菜園のイモやカボチャが食い荒らされ、小中学校に近い山中でも足跡が確認された。

 市によると沼島にもともとイノシシはおらず、3~4キロ北の淡路島から泳いできたとみられる。榎本貢・沼島市民交流センター長(62)は「既に繁殖している。人に危害が及ぶ前に捕獲を進めたい」と警戒する。

 香川県・小豆島南東部の小豆島町では、約10年前に目撃されたのを皮切りに、特産・オリーブの木の根元が掘り返されたり、稲が倒されたりする被害が続発。イノシシと遭遇してけがをした人もいる。明治期以降、駆除の成功で姿を消していたが、近年、四国などから渡ってきたらしい。

 09年度に8頭だった町内の捕獲数は、17年度は1402頭まで急増。同町農林水産課は「もはや島のどこにでもいて、住民は見掛けても報告しなくなった」。

 山口県周防大島(すおうおおしま)町の屋代島では10年ほど前から、イノシシによる特産のミカンの被害が目立つ。北東にある広島県呉市の倉橋島から泳いできたとみられ、木の枝を折り曲げて実を食べるなど手口も大胆。16年度の農作物被害総額は約1800万円に上る。佐賀県唐津市の馬渡(まだら)島でも約7年前から農作物などが狙われる。

 奈良大の高橋春成(しゅんじょう)名誉教授(66)=生物地理学=が13年、西日本の市町村に行ったアンケートでは、兵庫や広島、福岡、沖縄など18府県110島に、海や湖を渡ったとみられるイノシシが生息。島に来たとされる時期は1980年代が3島、90年代が17島に対し、00年代は42島と急増。10年代も22島だった(26島は不明)。高橋名誉教授は「実態はさらに多い」とみる。

 研究ではイノシシは高度成長期以降、耕作放棄地の拡大や狩猟者の減少などで急増。特に00年代以降、海辺まで生息域を広げていた個体が、えさを求めたり、狩猟者に追われたりして島に渡ったとみられ、島から島へも行き来する。高橋名誉教授は「5キロは普通で、20キロ泳いだ報告もある。泳ぐという新たな『イノシシ観』を持って対策を急ぐべきだ」と警鐘を鳴らす。

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