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転居に伴って趣味の観葉植物の鉢を減らした。男性は「気力がなくなってしまった」。部屋には引っ越し用の段ボールが残る=神戸市東灘区内
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転居に伴って趣味の観葉植物の鉢を減らした。男性は「気力がなくなってしまった」。部屋には引っ越し用の段ボールが残る=神戸市東灘区内

 阪神・淡路大震災の被災者に自治体が賃貸で提供した「借り上げ復興住宅」の入居者らが、20年間の借り上げ期間後に退去を迫られている問題で、退去に応じた被災者が急激な環境変化に適応できず、心身の不調を訴えるケースが出ている。住まいを奪った激震から間もなく24年。入居者の多くは高齢となり、支援する医師らは「意に沿わぬ転居は命を縮めてしまう」と警鐘を鳴らす。(小林伸哉)

 「年を取って引っ越しなんてするもんじゃない」

 持病を抱えつつ転居したという男性(84)は嘆く。

 転居先は神戸市東灘区の市営住宅の高層階。1人暮らしで、引っ越しの荷物を詰めた段ボール箱の多くは、半年以上たった今も積み上がったままだ。

 「よう片付けんまま住むんやろな。どないしたもんやろ。何が入ってるのか、捜し物が見つからない」

 男性は震災で東灘区の自宅が全壊。1997年に同区の借り上げ復興住宅に入った。趣味の観葉植物を並べ、2005年に病死した妻と過ごした思い出の場所でもある。

 17年10月に借り上げ期間が終了。各自治体で借り上げ復興住宅の継続入居要件は異なり、同世代の被災者でも明暗が分かれ、男性は転居対象になった。「迷惑はかけられん」と市営住宅に申し込んだが、「本当は残りたかった」。

 18年6月に移った市営住宅は約300メートルの距離だが、居住環境は一変。数日後、大阪府北部地震で戸棚のガラスが割れ、エレベーターに乗るのが怖くなった。転居前は2階で暮らし、買い物や通院にさっと外出できたが、今はおっくうに思う。

 「引っ越してから心臓に違和感があって、少しでも動いたらこたえる」。脳梗塞の後遺症もあり「うまく眠れない」と漏らす。

 訴訟も辞さない市の姿勢に、やむを得ず転居する高齢者が相次ぐ。男性は「みんなしんどい目をしてると思うよ。無理はさせんといてほしいなあ」と気遣った。

【借り上げ復興住宅】 兵庫県と県内5市が、都市再生機構(UR)や民間などから住宅を借り上げ、最多時は7千戸超を提供。1月の取材時点では、計約2千世帯が暮らす。前年比で約250世帯減。神戸市では2019年度以降に18団地で借り上げ期間が終了する。期間後も暮らす住民に対し、神戸市は12世帯、西宮市は7世帯に退去を求めて提訴。神戸地裁は3世帯に退去を命じ、1世帯が明け渡す内容で和解した。訴訟を継続する住民らは「入居時に期間終了時の明け渡しの説明は受けていない」などと主張している。

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