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第160回芥川賞を受賞した上田岳弘さん=16日夜、東京都内(撮影・大盛周平)
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第160回芥川賞を受賞した上田岳弘さん=16日夜、東京都内(撮影・大盛周平)

 第160回芥川賞に、明石市出身の上田岳弘さん(39)が選ばれた。仮想通貨をモチーフに、合理化が極まった世界における幸福の姿を問うた受賞作「ニムロッド」。16日夜、東京都内で開かれた会見では、受賞については淡々と語る一方、文学を巡る熱い言葉が続いた。

 3回目のノミネートでの受賞とあってか、会見ではほっとしたような表情ものぞいた。「候補にしてもらえるだけで話題になる賞。評価されるのはすごくうれしい」と喜びを口にした。

 受賞作に登場するのは、生産性を最大限高めるため人類が情報技術で個の意識を共有し、肉体は一つに溶け合う-という究極の未来。そこに同化できない「駄目な人間」を愛着と悲哀を持って描いた。「完成したものは、どこか味気ない。そこに至る過程に紛れる駄目さにこそ人間性があるはず」との思いに基づく。

 兵庫県立明石西高校在学中に阪神・淡路大震災を経験。明石市内の自宅で大量の本に埋もれ、「死に一番近づいた瞬間」と話す。この体験を原点とし、17年に小説「塔と重力」を発表。文学として昇華させた。

 受賞会見では「これって意味があるの、という行為を続けていくことで、人間は存在を担保されているのかな」との表現で、執筆への強い意欲を語った。

 上田さんの地元にも祝福ムードが広がった。明石市在住の姉、山口佐智さん(46)は「安心しました。仕事前に執筆していると聞いていたので、苦労が報われて本当によかったねと伝えたい」と声を弾ませた。明石西高の上河創校長は、上田さんの在学時に英語科の教員として同校に勤務し、授業も担当したことから「周囲に流されず、しっかりした自分を持っているという印象が残る。本作で新たな世界を樹立されたのでは。ますますの活躍をお祈りしている」と快挙をたたえた。(藤森恵一郎、新開真理)

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