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純チタンで作った楽器「響鉢」を紹介する明珍敬三さん。チタン製の火箸も並ぶ=姫路市役所
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純チタンで作った楽器「響鉢」を紹介する明珍敬三さん。チタン製の火箸も並ぶ=姫路市役所
伝統的な工法で火箸を作る明珍宗理さん=2011年7月、姫路市伊伝居
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伝統的な工法で火箸を作る明珍宗理さん=2011年7月、姫路市伊伝居

 風鈴などとして珍重される兵庫県姫路市の伝統工芸品「明珍(みょうちん)火箸」を製造する明珍本舗(同市伊伝居)が近年、独特の清らかな音色を放つチタン製品を中心に音楽分野での需要を広げている。国内屈指の交響楽団で使用する楽器の製作依頼も舞い込み、次期当主の明珍敬三さん(43)は「音楽界にも伝統工芸の魅力を知ってもらえるよう頑張りたい」と意気込む。(井沢泰斗)

 鉄や玉鋼(たまはがね)で作る明珍火箸だが、敬三さんの父で当主の宗理(むねみち)さん(76)は、十数年前から軽くてさびないチタンの火箸や鉢を製造してきた。当初、純チタンで作る火箸は音が響きにくい難点があったが、たたく時間を短くし、複数回削る工程も加えたことで、鉄よりも音に張りがあり、よく響く製品ができたという。

 昨年3月、明珍本舗の技術に目をつけた作曲家平野一郎さん(44)=京都市=がコンサート用の大きな鉢の楽器製作を依頼。敬三さんは宗理さんと2人がかりで取り組み、直径30~50センチのチタン製鉢を6個完成させた。「響鉢(きょうはつ)」と名付けて平野さんに無償で貸し出し、昨年6月に国立劇場(東京都)であった邦楽公演で演奏された。

 平野さんは「標準化されたドレミの音階にはまらない多様な響きを含み、強いパワーも持っている。今後も響鉢の可能性を探っていきたい」と力を込める。

 その後も、同月にサントリーホール(東京都)であった仏教音楽のコンサートや兵庫県佐用町のジャズ演奏会に貸し出すなど、楽器としての活用が広がる。敬三さんは「大きな鉢にすると鉄よりもよく響くと分かり、新たな発見だった。地元の音楽家に貸し出すことも検討したい」と語る。

 さらに昨春、都内の楽器商から依頼されたのは、西洋楽器のトライアングル。後に伝統ある楽団で使用されることを知らされた。現在は鉄やチタン、玉鋼などから適合する素材を決めるべく、試作品に取りかかっている。

 敬三さんは「伝統工芸も古い技術を伝えていくだけでは衰退する。新しい素材を取り入れ、音楽という新分野を開拓することで若い人にも興味を持ってもらえたら」と期待する。

【明珍火箸】平安時代から続く甲冑(かっちゅう)師の流れをくむ「明珍本舗」(姫路市伊伝居)が作る火箸。県の伝統的工芸品に指定されている。明珍家は江戸時代に姫路藩主などを務めた酒井家のお抱えとなり、甲冑の需要がなくなった明治期以降は火箸作りを専業とした。エネルギーの転換による火箸の需要減を受け、1965年に火箸が触れ合う音色を生かした「明珍火箸風鈴」を開発。国内外から高い評価を得ている。

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