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四股など相撲の動きを取り入れた療育に取り組む元関脇の小林孝也さん=神戸市灘区篠原中町
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四股など相撲の動きを取り入れた療育に取り組む元関脇の小林孝也さん=神戸市灘区篠原中町

 四股など相撲のゆっくりした動きを通じ、発達障害や自閉症の子どもたちに心の落ち着かせ方を身に付けてもらおうと、大相撲元関脇琴富士の小林孝也さん(54)が神戸市内で療育教室や出張レッスンを開いている。相撲界を退いた後、目標も家族も失ってどん底だった小林さんを癒やしてくれたのが、感情を素直に表現する子どもたちとの出会いだった。「みんなの笑顔が何よりのご褒美。自分の経験を役に立てられたら」と話す。(真鍋 愛)

 神戸市灘区の療育施設。小林さんが姿を見せると、子どもたちが「親方!」と駆け寄り、190センチの巨体に飛びつく。小林さんは一人一人と目を合わせ、ゆっくりと四股を踏む。1人、2人とまねをし始め、10分ほどすると、全員が落ち着いた様子で同じ動きをするようになった。

 千葉県出身の小林さんは中学卒業後に佐渡ケ嶽部屋に入門し、1980年に初土俵を踏んだ。91年の名古屋場所で横綱、2大関を破って平幕優勝を飾り、関脇に昇進。95年の現役引退後は親方として後進の指導にあたり、99年に日本相撲協会を退職した。

 その後、タレントを経て飲食業の世界に飛び込んだが、うまくいかなかった。頑張っても「番付」のように目に見える成果がないことにやる気を失い、次第に自暴自棄に。生活が荒れて妻と離婚し、子どもとも離れた。「金になる」と誘われて偽装結婚に手を染めて逮捕され、実刑判決まで受けた。

 国内を転々とし、工事現場や飲食店などで働いて食いつないだ。そんなとき、発達障害や自閉症の幼児向けに療育教室を開いている中学校の同級生と偶然再会した。「自分も何か社会の役に立ちたい」と思い、その教室をのぞいてみた。

 初めは警戒心からか、腕をひっかいてくる子どももいたが、打ち解けると笑顔を見せ、小林さんの訪問を喜ぶようになった。「もっと深く携わりたい」と独学で発達障害などについて学び、疲れやすかったり、長時間座ることが難しかったりする子どもに、体幹や筋力の強化を取り入れた療育があることを知った。

 「体幹の強化は相撲の動きに通じる。自分の経験を生かせるのでは」。道が開けた気がした。同級生のアドバイスを受けながら、相撲のすり足や四股などを加えたプログラムを考え、約2年前、神戸市兵庫区に療育教室「神戸すもうスタジオSerefe(シェレフェ)」を開いた。

 現在、出張などで月に約20回、計約200人にレッスンを開く。注意欠陥多動性障害(ADHD)の子どもの保護者らから「衝動的な動きが穏やかになった」などの声が寄せられるといい、小林さんは「子どもたちの笑顔に自分自身が浄化されているよう。体が動く限り活動を続けたい」としている。同スタジオTEL090・3945・7510

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