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完成間近の大熊町役場新庁舎前に立つ鈴木久友さん(右端)ら「じじい部隊」のメンバーと同町職員の志賀秀陽さん(中央)=7日、福島県大熊町
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完成間近の大熊町役場新庁舎前に立つ鈴木久友さん(右端)ら「じじい部隊」のメンバーと同町職員の志賀秀陽さん(中央)=7日、福島県大熊町
整備が進む復興公営住宅=7日、福島県大熊町
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整備が進む復興公営住宅=7日、福島県大熊町

 東京電力福島第1原発事故で全町避難が続く福島県大熊町。人影がなくなった町の見守りに率先して取り組んできた人たちがいる。町職員OB有志らによる「じじい部隊」。リーダーで町臨時職員の鈴木久友さん(66)が神戸新聞社の取材に答えた。「やっと役目を終えられる」。5月には建設中の役場新庁舎に職員が戻ってくる。「残る期間をやり遂げたい」と頬を緩ませた。

 日本記者クラブ加盟社による第1原発取材団に参加し、原発が立地する大熊町の現状を取材した。

 2011年3月11日の東日本大震災による津波に襲われ、原子炉内で炉心溶融(メルトダウン)が発生。原子炉建屋では水素爆発が起き、大量の放射性物質が放出された。国は原発の半径20キロ圏内に避難指示を発令。同町の全町民約1万2千人は町外へ避難を余儀なくされた。

 鈴木さんは当時、同町総務課長。「町にいつ戻れるのか」と怒りに駆られる住民の対応に昼夜追われた。2年後に退職したが、「若者を放射線量の高い場所に行かせられない」と職員OBの有志5人と町内の見回り活動を志願した。

 放射線量が高い「帰還困難区域」への立ち入り許可を得て、無人と化した町の防犯パトロールや草刈り、桜の名所の手入れなどに毎日のように汗を流した。自宅の様子を気にする町民の依頼で家の写真も撮った。

 地元では信頼を込めて「じじい部隊」と呼ばれた鈴木さんたち。「町民が帰還する日までとの一心だった。新しい役場が戻ったら本当の退職だ」と目を細める。「原発で町が発展したのは紛れもない事実。元に戻る戻らないを問わず、行政は町民一人一人のことを考えた町をつくってほしい」と期待した。

 6月ごろには新庁舎の周辺地域で避難指示が解除される見込みで、復興公営住宅の整備が進む。賃貸住宅も順次建設される計画。来年3月にはJR常磐線が全線開通予定で、町内唯一の駅も再開する。

 ただ、事故前に9割以上の町民が暮らした地域は帰還困難区域のまま。国は居住開始の時期を依然として示していない。同町復興事業課の志賀秀陽課長(59)は「避難先で暮らしの基盤ができ、町に戻らないと決めた町民も多い」と話す。町民の主な職業は兼業農家と原発作業員だった。農地の活用策、企業誘致など、産業の創出に向けた課題は大きい。志賀課長は「町の青写真を描くのはまだ難しいが、町民が戻りたいと思えるまちづくりに知恵を絞りたい」と前を向いた。(金 旻革)

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