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捕獲おりのライブ映像をスマートフォンで確認できる(写真のおりは展示用)=丹波市青垣町沢野、兵庫県森林動物研究センター
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捕獲おりのライブ映像をスマートフォンで確認できる(写真のおりは展示用)=丹波市青垣町沢野、兵庫県森林動物研究センター
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 自宅のパソコンやスマートフォンから操作でき、捕獲頭数の調整も可能-。シカやイノシシ、サルなど獣害対策の効率を大幅に向上させる策として、各地に情報通信技術(ICT)を備えた捕獲おりが広まっている。兵庫県も2019年度にイノシシ対策として30基を導入予定だ。人工知能(AI)を活用し、自動で捕獲する機械もすでに実用化されており、高齢化が進む獣害の現場で期待される。(中西幸大)

 ICTを活用した捕獲おりの基本的な仕組みは、備え付けたセンサーや赤外線カメラなどで内部への進入頭数やおりの周辺状況などを把握。その情報がインターネット回線を通じて手元のスマホなどに届き、遠隔操作でおりの門を閉めることができる。閉める操作にはわな用の狩猟免許が必要で、機種にもよるが価格は装置だけで数十万円から。おりと合わせると100万円台が中心になる。

 決して安くはないが、離れた場所からおりの状況を確認できるため、見回りをする手間を省けるメリットは大きい。ゲートの操作も簡単で、例えば群れの進入を確認してから一網打尽にしたり、狩猟禁止獣の誤捕獲を防止したりと、狙いを絞って捕獲ができる。

 兵庫県立大などが開発に関わり、兵庫県加古川市の調査会社「一成」が11年から販売する「かぞえもん」はAI機能を搭載した優れものだ。捕獲おりに進入した害獣の頭数データを蓄積し、おりの大きさなどに応じたベストの捕獲頭数をはじき出す。設定した頭数に達した瞬間、自動でおりが閉まるという。

 また、近年のICT捕獲機は、ウェブ上で会話のようにメッセージをやりとりできるチャット機能を併設したり、複数のおりを同時に管理できたりと情報機能が充実している。「かぞえもん」も15年には「かぞえもんAir」にバージョンアップ。一成の担当者は「捕獲情報を猟師とおりの設置者の双方へ同時に届けることができ、仕留めの作業も効率的に行える」とPRする。

 兵庫県ではイノシシ対策として、19年度当初予算案にICT大型捕獲おり30基の導入費用を盛り込んだ。希望する市町や農会など、団体に貸与する形での運用を検討しており、鳥獣対策課の担当者は「効率の向上、狩猟に慣れない住民や集落へのサポートを通じて、捕獲に対する地域の意欲を高めたい」と期待を寄せる。

■ハイテクおり少人数で対応可 普及背景に熟練猟師の減少

 ICTなどを活用したハイテク捕獲おりが開発された背景には、獣害が多発する中山間地域の住民と猟師の高齢化がある。環境省の資料では2015年度の狩猟免許所持者は約19万人で40年前の4割以下に激減。60歳以上の割合も8・8%から63・3%と大幅に増えた。

 三重県でサル対策に取り組み、捕獲おりの遠隔監視装置「まるみえホカクン」の開発にも関わった兵庫県森林動物研究センター(丹波市)の山端直人主任研究員は「足跡から動物の動きを読み取れるような熟練者も減り、過疎高齢化の農村では人海戦術には限界がある。ICT捕獲おりは少人数でも取り組める有効な手法」と話す。

 「まるみえホカクン」も加古川市の調査会社が開発した「かぞえもんAir」と並んで県内で多く使われている機種。ライブ映像で状況確認ができ、遠隔操作で捕獲ができる仕組みで、最大の特徴はクラウドシステムの活用だ。多くの関係者が情報の共有と交換をできる仕組みを盛り込むことで捕獲を共同作業化し、住民たちの幅広く積極的な関与を促すという。

 山端さんは獣害対策は地域全体で取り組むべき課題とし、「ICT捕獲おりも道具にすぎないので、何のための捕獲か、目的を明確にしないと有効に活用できない。防護柵も含めた総合的な対策も踏まえるなど、運用する側の人材育成は忘れてはいけない」と指摘する。

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