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亡き息子への思いを語る大畑江美さん=加東市
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亡き息子への思いを語る大畑江美さん=加東市

 NPO法人関西骨髄バンク推進協会(大阪市)の兵庫県理事を務める団体職員大畑江美さん(53)=加東市社=は、ドナー登録希望者に骨髄採取までの流れや移植の意義などを説明する仕事を10年以上にわたって続けている。17年前、9歳だった息子を小児がんで亡くし、「つらい思いをする人を減らしたい」と願って取り組んできた。競泳の池江璃花子(りかこ)選手(18)が白血病を公表してから登録者が増えていることに感謝しつつ「一過性ではなく、病気への理解や支援がもっと広がる社会に」と期待する。(笠原次郎)

 大阪府八尾市生まれ。兵庫教育大(加東市)でサッカー選手として活躍した。陸上競技やスキーをこなす夫保幸(やすゆき)さん(54)との間に1992年、長男有裕(ゆうすけ)ちゃんを授かった。

 生後9カ月の時、長男のおなかが膨らんで発熱し、西脇病院で腎臓にがんが見つかった。「体育会系の元気な夫婦の子なのに…」。ショックでその夜は一睡もできず、母乳も止まったという。

 神戸市須磨区の県立こども病院に入院し、翌月に腎臓の摘出手術を受けた。抗がん剤や放射線の治療も受けたことから、造血機能を保つために骨髄液を採取して保存。1歳半でいったん治療は終わったが、半年後に脳腫瘍が見つかり、手術で摘出した。骨髄液の自家移植も受け、4歳で退院した。

 兵庫教育大付属小学校3年だった2001年秋、同病院で定期検査を受けた。予兆はなかったが、脳腫瘍が再び見つかった。治療中でも家族に八つ当たりを一切しなかった優しい有裕君から「お母さんが泣いたらつらいから、泣かないで」と訴えられ、涙を封印。有裕君はそのまま入院し、02年5月に亡くなった。江美さんは葬儀ではあえて笑顔を振りまいた。

 13歳だった娘を白血病で亡くした旧知の女性(72)に頼まれ、07年に同協会の理事を引き受けた。08年からは献血会場でドナー登録希望者への説明を続ける。兵庫、京都、大阪で月10回ほど、登録を呼び掛ける。説明員は元患者や家族が多く、人手不足の状態が続く。

 登録を希望する若者の生まれ年が息子と同じと分かると「こんな立派な青年になっていたかも」と想像を巡らせる。息子について思い出すのは、つらいことばかりではない。「優しかったあの子が、天国から応援してくれている気がする」

2900人待機実現6割程度

 白血病をはじめ、血液細胞(赤血球、白血球など)が正常につくられなくなる病気を治療するには、血液の基となる造血幹細胞を含む骨髄液や末梢血を、健康なドナーから採取し移植する手術が有効とされる。

 移植には「HLA」と呼ばれる白血球の型が、患者とドナーで一致することが条件。血縁のない人同士の移植を取り持つため、1991年に日本で公的骨髄バンクができた。ドナー希望者と患者を登録し、HLA型のマッチングを担う。

 今年1月末現在、ドナー登録者は約49万4千人。患者も約2900人が登録しているが、移植が実現するのは6割程度とされる。

 患者の登録から移植までの期間短縮や、型が適合する確率の向上に向け、ドナー登録者を増やすことが課題。兵庫県内では、ミント神戸(神戸市中央区)や塚口さんさんタウン(尼崎市)、明石運転免許試験場前(明石市)など計7カ所の献血ルーム、献血バスによる献血会でもドナー登録ができる。(佐藤健介)

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