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母子避難者の当事者支援グループを立ち上げた佐藤美香さん(左)と上前昌子さん=芦屋市呉川町
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母子避難者の当事者支援グループを立ち上げた佐藤美香さん(左)と上前昌子さん=芦屋市呉川町

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の影響で、兵庫県内に移り住んだ母子避難者らが昨秋から、同じ境遇の避難者同士で支え合うグループ「母子避難サポート Aina(アイナ)」を立ち上げ活動している。未曽有の災害から8年。夫らとの別居生活が長引く中で、経済的に困窮したり、周囲や世間との意識の違いに悩んだりして、孤立を深める避難者も多い。発起人らは「つながることで元気を与えたい」と話す。(金 旻革)

 発起人は、代表の佐藤美香さん(51)=兵庫県芦屋市=と事務局の上前(うえまえ)昌子さん(54)=神戸市垂水区。

 群馬県太田市で暮らしていた佐藤さんは8年前の震災で、当時17歳の長男、6歳の長女と共に米ハワイに一時移住。2年前から芦屋で長女と生活する。福島県郡山市に自宅があった上前さんは2012年に台湾へ移り、長女と長男が現地の大学と高校に進んだ現在は、単身で神戸に暮らす。

 原発事故後、佐藤さんの長女は体調に異変を来した。発熱や頭痛にさいなまれ、入学したばかりの小学校に通えなくなった。自宅敷地の土壌で高い放射線量を計測し、「ここで子どもとは暮らせない」と思った。

 夫は自営業で群馬を離れられず、母子避難を決意。生活費をまかなうため、六つのアルバイトなどを掛け持ちする中で、うつ病とパニック障害を発症し、心身ともに疲弊していった。

 そんな頃、神戸に避難した母親の集まりに参加する機会があった。夫と意見の不一致から離婚した人、病気を患いながら生活のために働き続けている人…。「みんな重荷を抱えている。当事者が交流し、支え合える場が必要」と実感した。

 約1年前、各地で避難体験について講演している上前さんと出会い意気投合。昨年11月にアイナを旗揚げした。インターネットの会員制交流サイト(SNS)などで相談に応じている。

 「専門家に悩みを打ち明けるのはハードルが高いが、同じ母子避難者なら心を開きやすいはず」と上前さん。佐藤さんは「原発事故で人と人が分断された。災害が起きれば、同じように苦しむ人が出ることを広く知ってほしい」と訴える。

 問い合わせはメール(boshihinanaina@gmail.com)、またはSNSのフェイスブックページから。

     ◇

 復興庁によると、東日本大震災による避難者は全国で5万1778人(2月27日時点)に上る。兵庫県内では771人が避難を続けるが、母子などの詳しい内訳は分かっていない。

 災害から月日がたつにつれて帰郷や定住を選ぶ避難者が増え、各地の交流グループなどは減少。行政による住宅支援も次々と打ち切られる傾向にある。

 避難者による国や東京電力への損害賠償請求訴訟で、兵庫での弁護人を務めている津久井進弁護士(49)は「子どものいじめや離婚など、避難者が抱える問題は複雑化している。当事者同士の支援の重要性は高まっている」とする。

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