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虫害から復活した日本最古級のオリーブ。枝は神戸マラソンの冠に使われている=神戸市中央区多聞通3(撮影・大山伸一郎)
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虫害から復活した日本最古級のオリーブ。枝は神戸マラソンの冠に使われている=神戸市中央区多聞通3(撮影・大山伸一郎)
虫害と駆除のため樹皮をはがされたオリーブ=神戸市中央区北野町2
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虫害と駆除のため樹皮をはがされたオリーブ=神戸市中央区北野町2
駆除されたオリーブアナアキゾウムシ(宇津誠二さん提供)
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駆除されたオリーブアナアキゾウムシ(宇津誠二さん提供)

 神戸市中央区の湊川神社にある、日本最古とされるオリーブの木。害虫の被害で一時は枯死も心配されたが、治療に成功。保護のため周囲に組まれていた足場も2年ぶりに取り払われ、再び風格ある姿を見せている。(田中真治)

 神戸とオリーブの歴史は古く、1878(明治11)年ごろにイタリア産の3本が兵庫県の植物試験場に植えられ、79年にはフランスから取り寄せた苗木で国営の「神戸阿利襪(オリーブ)園」が設けられた。湊川神社のオリーブはいずれかに由来し、樹齢約140年と推定されている。

 高さ約14メートルに成長した木は、2004年に台風で南側の枝が折れ、バランスが悪くなったため、残った枝を木製の支柱で補強。健在だったが、16年11月、同神社の緑を守っている樹木医の中島末二さん(74)=伊丹市=が異変に気付いた。

 根元に木くずを見つけた中島さんは「天敵のオリーブアナアキゾウムシがいる」と直感。神戸でオリーブ園の復活に取り組む中西テツ・神戸大名誉教授(74)に連絡した。木の内部が食い荒らされると、水や養分を吸い上げられず枯れてしまうため、すぐに治療を始めた。

 定期的な薬剤散布とともに、木の上から水分を行き渡らせるため足場を設置。足場は、弱った木が台風で折れないよう、補強する役目も果たした。樹勢の回復を確認し、18年10月に支柱を金属製に交換。今年1月、足場を撤去した。

 新しい支柱は、強度設計した特注品。中島さんは「木が支柱に頼りすぎると、折れやすくなる」と、枝の上部はロープで緩やかに固定。風の力を受け止め、自立を促すなどの工夫を凝らした。再生にかかった費用は、神戸に工場を持つ食用油大手J-オイルミルズが支援。同社のルーツの一つは神戸発祥の鈴木商店とあって、保護活動に賛同したという。

 「より丈夫になるように見守っていく」と中島さん。4月にはひこばえを幹に接ぎ木し、若返らせる作業に挑戦する。授粉試験では、約5グラムの大きい実ができることが分かっており、今年は初めてオイルを搾ることも検討されている。

 中西名誉教授は「神戸とオリーブの歴史のシンボルであり、オイル特性の分析や、木の由来を明らかにするDNA分析ができれば」と期待している。

■北野でも被害、地域の対策不可欠

 オリーブアナアキゾウムシの被害は、「神戸阿利襪園」誕生の地、北野・山本通地区でも拡大している。

 同地区でオリーブが増えたのは、2014年から。市民団体「インターナショナルオリーブアカデミー神戸」が、兵庫県や神戸市と連携し、北野坂や異人館通り、公園などに約270本を植栽。店舗や民家の庭木としても人気が高まる一方で、虫害が目立ち始めた。

 オリーブアナアキゾウムシは山林に生息。被害拡大の原因として、六甲山に近い立地や、苗木に幼虫が付いていた可能性が指摘されている。住民らに配慮して農薬の使用は避けているが、人力による駆除では被害拡大を抑えきれないのが現状だ。

 「暖かくなると成虫が活動期に入り、さらに被害が出るかもしれない」と同団体の宇津誠二理事長(63)。虫の侵入を示す幹の穴や根元の木くずを確認する「オリーブウォッチング」への協力を呼び掛ける。

 コーティング剤による樹皮の保護も試みているが、木から木へ渡り歩く虫からオリーブを守るには、地域ぐるみの対策が不可欠だ。「行政や造園業者、研究者らと情報交換の場を設け、有効な対策を見つけたい」と宇津さんは話す。(田中真治)

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