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沖縄国際大教授の前泊博盛さん=神戸市中央区(撮影・辰巳直之)
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沖縄国際大教授の前泊博盛さん=神戸市中央区(撮影・辰巳直之)

 沖縄県で今年2月に実施された名護市辺野古沖の埋め立ての是非を問う県民投票は、反対が7割を超えた。「新たな米軍基地は要らない」。再び示された民意に対し、政府は市街地にある米軍普天間飛行場の移設先として、辺野古沖での新基地建設工事を続ける。沖縄県民の声は、政府や国民に何を問いかけているのか。地元新聞社で基地問題を長年取材し、今も発言を続ける沖縄国際大学の前泊博盛教授に聞いた。(段 貴則)

 -結果をどう読み解くか。

 「投票率も5割を超え、圧倒的な反対が示された。報道機関の出口調査を見ると、自民支持層でも4割が反対している。想定外といえる。反対票にばかり目が行くが、私は賛成票の中身を重視している。どういう趣旨で賛成票が投じられたのか、だ」

 「調査では、賛成に回った人のうち、半分は『普天間が固定化され、危険が放置されるから、辺野古でもやむを得ない』という人たちだ。さらに賛成票の3割は『工事が進んでいるから反対しても無理』という諦めから。本来の意味の賛成は、残りの2割しかない。全体の19%にあたる賛成票のうち、8割が『どうしようもない』、もしくは『普天間を人質に取られているからやむを得ない』と考えた。反対票と合わせれば、投票した人の事実上9割が新基地建設に賛成ではないことになる」

 -政府は工事を続ける方針だ。

 「すでに辺野古沿岸部での工事の難しさは明らかになっている。軟弱地盤や活断層の存在、それに伴う膨大な工事費と長すぎる建設期間などだ。にもかかわらず、なぜ造らなければいけないのか、納得できる根拠が示されない。工事全体の計画が見通せないままに工事を始めるのは、公共事業ではあり得ないことだ。それが辺野古ではまかり通っている」

 「なぜ2度目の県民投票をやることになったのか。1996年にも、日米地位協定の見直しと米軍基地の整理縮小について県民投票が実施された。9割が見直しや整理縮小を求めたが、国は放置した。沖縄から見ると、この国に、民主主義が根付いていない部分がよく分かる。民主主義は敗戦によって、アメリカから持ち込まれたものであって、国の内側から出てきたものではない。地方の主権についても、地方分権、分け与えられるものという意識が強い。だが、沖縄は米軍による占領を経て本土復帰を判断した際、主権は与えられるものではなく、自ら勝ち取るものだという経験をしている」

 -本土側の反応をどう見るか。

 「集団的いじめの状況だ。47人のクラスがあり、そのうち1人にランドセルを背負わせ、周りは楽々と歩いている。みんなで一つずつ背負うことは考えず、『一つ減らすから、新しいものを背負ってくれ』と。『おかしい』と声を上げても『みんなで決めたルールだ』と言われる。これが、この国の実態。沖縄が一生懸命声を上げても『大変だね』と言うばかりで、誰も背負おうとはしない」

 「県民投票の結果を受け、沖縄タイムスが全国の知事にアンケートをした。『日米両政府は結果を尊重すべき』と答えたのは岩手と静岡のみ。さらに『国は建設工事を断念すべき』としたのは岩手だけだった。『どちらともいえない』『安保は国の専管事項』という回答が多く、民主主義や地方主権に対する認識がとても低いことが分かる。国の安全保障を考えるには国民一人一人の当事者意識が必要で、『沖縄の基地問題』と捉えるのは間違い。『日本の問題』という意識を持たないといけない」

 -沖縄の民意が、問いかけるものは何か。

 「県民投票が映し出したのは、この国の形、姿だ。民主主義国家ではないことを示した。選挙民主主義が形骸化し、崩壊している。1強多弱化が進み、肥大化した行政権に立法も司法もかしずいている。民主主義が否定されているのに、主権者である国民は怒らない。『しょうがないよ』と諦め、投票結果を政府が無視しても、誰も文句を言えない。この実態に国民が気付かないと大変なことになる。とても危険な状態だ」

【まえどまり・ひろもり】1960年沖縄県生まれ。琉球新報編集委員、論説委員長を経て、11年4月から現職。基地・軍事経済が与える地域経済への影響を研究し、著書は「沖縄と米軍基地」など。

【沖縄県民投票】「米軍普天間飛行場の代替として、国が名護市辺野古で計画する新基地建設のための埋め立ての是非」が問われた。2月に実施され、投票率52.48%、反対72%、賛成19%、どちらでもない9%。

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