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開票作業に当たる関係者。2992人が1票に託した思いはどこに=7日夜、伊丹市鴻池1
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開票作業に当たる関係者。2992人が1票に託した思いはどこに=7日夜、伊丹市鴻池1

 7日投開票の兵庫県議選伊丹市選挙区で、選挙管理委員会が、諸派新人の原博義氏(47)に被選挙権がないことを把握していたにもかかわらず、投開票日まで公表しなかったことが波紋を呼んでいる。無効になった2992票は同市の投票総数の約5%。無効票は「100票でも多い」とされ、異例の事態だ。(竜門和諒、井上 駿)

 公職選挙法の規定では、県議選の被選挙権は、投開票日までに県内の一つの住所に3カ月以上居住していることなどが必要。県選管によると、原氏は尼崎市と宝塚市に居住していたが、3カ月には足りなかった。

 県選管と原氏によると、告示直前だった3月28日、県選管が「立候補はできるが、無効票として扱われ、当選はない」と伝えた。しかし、原氏は立候補を届け出た。原氏は「支援者と相談し、所属する党(政治団体)の活動を周知するため立候補を決めた」と説明。「もう少し早く知っていれば、立候補をやめたかもしれない。投票していただいた市民に申し訳なく思う」と話した。

 総務省によると、被選挙権の住所要件を満たさない場合、選管が事前に立候補を取り下げられる規定がない。さらに、過去の判例では、被選挙権があるかどうかの実質的な審査は、開票の際に立会人に聞いて決定することになっているという。同省の担当者は「現在の規定では、選管は受理するしかなかった」とする。

 県選管が事前公表しなかった根拠に挙げているのは1951年の福岡高裁の判例。長崎県の県議選で、選管や選挙事務関係者が選挙期日前に特定の候補者の被選挙権がないことを公表することは「その候補者の選挙運動を著しく妨害し、選挙の自由公正を害する」と判断された。これをもとに「投開票日前に周知すると、選挙の妨害に当たる」と説明している。

 伊丹市選管によると、8日、10件程度の苦情があった。「無効と分かっていれば別の投票先を考えた」「なぜ立候補を許したのか」という趣旨だったという。担当者は「納得しがたいかもしれないが、違法と示した判例に基づいて判断せざるを得ない」とする。

 ただ、一連の対応に専門家からは疑問の声も。日本大の岩井奉信(ともあき)教授(政治学)は「有権者の投票より、被選挙権がない人の立候補の自由を優先させたおかしな判断。2992票は少なくない」と指摘。富山大の神山(こうやま)智美准教授(行政法)は「一体、何のための選管なのか」と疑問を呈した。「地方議会で候補者集めが難航し、落下傘の政策型候補も増える中で、住所要件自体の是非も考える時期に来ているのではないか。あえて居住期間を選管が公開することも一つの手」とする。

【選挙妨害】選挙結果に影響を与えようと、選挙の自由・公正を妨げる行為。公選法では、候補者や候補者になろうとする人、選挙運動に携わる人らに暴行や威力を加える▽集会や演説を妨害、文書を破る▽公務員が正当な理由なく居宅や選挙事務所に立ち入り選挙の自由を妨害-などの行為に、4年以下の懲役か禁錮、100万円以下の罰金を定めている。

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