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住民が退居した部屋の郵便受けに貼られた「空室」のテープ=13日午後、熊本県益城町小谷
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住民が退居した部屋の郵便受けに貼られた「空室」のテープ=13日午後、熊本県益城町小谷
テクノ仮設団地の見守り活動で入居者を訪ねる生活支援相談員=13日午後、熊本県益城町小谷
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テクノ仮設団地の見守り活動で入居者を訪ねる生活支援相談員=13日午後、熊本県益城町小谷

 熊本地震の仮設住宅で、被災者の見守りに課題が生まれている。熊本県益城町で最大規模のテクノ仮設団地では入居者がピーク時から半減。生活支援相談員が巡回するが、夜間の見守り役はおらず、高齢者の孤独死が起きた。24年前、阪神・淡路大震災でも同じ問題が生じ、当時を知るボランティアは「取り残された気持ちを抱く被災者に、温かな寄り添いが必要だ」と指摘する。(金 旻革)

 「体調はどうですか」「腰が痛いけれど大丈夫」

 13日午後、訪ねてきた生活支援相談員に、入居者の女性(76)は近況を語った。自宅は大規模半壊。年金生活で再建は断念し、来春に完成予定の復興住宅へ移るつもりだ。女性は「住民が減って仮設はさみしくなった。来てくれると安心」と笑顔を見せた。

 同町は最大震度7の烈震に2度見舞われた。45人が死亡し、家屋の全半壊は約6200棟。一部損壊を含めると、町内の98%の家屋が損害を受けた。

 熊本空港そばのテクノ仮設は全516戸。区画ごとに六つの自治会で構成される。ピーク時の2016年12月は507世帯1334人が暮らしたが、今年4月1日時点で257世帯581人に半減。残る住民は自宅再建が難しく、復興住宅の完成を待つ人が多い。中でも高齢者は217人に上り、独り暮らしは58人で全体の1割を占める。

 支援員は町の委託を受けて常駐。病気やけがを患う独居高齢者には毎日のように様子をうかがう。不在時には水道メーターも確認し、異変に気を配る。

 ただ、活動は日中に限られ、夜間は支援員の姿はない。現場リーダーの坂本貴子さん(49)は「入居者も日常の生活に戻る必要がある」とするが、ある70代の独居女性は「人の目が無くて不安だ」とこぼした。

■自治会の温度差

 入居者減に伴う仮設住宅の空洞化は、住民同士の結び付きに影を落としている。昨冬、90歳くらいの独居女性が入浴中に動けなくなった。女性は浴槽で一夜を明かし、連絡が取れず不審に思った家族が訪ねて救助された。

 今年3月には70代後半の独居女性が孤独死。テクノでは高齢者が健在のメッセージを周囲に伝える「黄色い旗運動」を推奨していたが、女性の部屋前には普段から黄色い旗は掲げられず、異常を察知する手掛かりにならなかった。

 「見守りへの力の入れようは自治会によって異なる」。6自治会を束ねる自治会連合会長の池田正三さん(79)は唇をかむ。「不測の事態があっても住民は助けを呼べず、周囲も異変に気付かない」

■心で寄り添う

 孤独死は阪神・淡路でも課題となり、ボランティアは抑止に心血を注いだ。1800人が暮らした神戸市西区の「西神第7仮設住宅」では、看護師だった故黒田裕子さんが設立したNPO法人「阪神高齢者・障害者支援ネットワーク」が見守りに携わった。

 認知症の兆候がある入居者が増えた1995年秋、黒田さんは仮設で泊まり込みを始め、夜間はカーテンの隙間から就寝を確認。火の消し忘れも見て回り、仮設が解消されるまでの約4年間24時間態勢で続けた。

 同ネットワークを引き継いだ宇都幸子さん(74)は「生活が一変した高齢者の精神的な負担は大きい。『独りじゃない』と思えるつながりを住民同士だけでなく、行政も意識して築くことが大切だ」と話した。

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