なぜ立候補できた?110票無効の新人候補 播磨町議選

2019/04/22 06:00

播磨町議選の掲示板を眺める通行人=播磨町東本荘1

 兵庫県播磨町議選で被選挙権に必要な住所要件を満たさなかったため、110票が無効となった「NHKから国民を守る党」新人の増木重夫氏(66)。立候補の届出書類には、実際に住んでいない住所を記載し、「提出義務がない」として住民票も添付しなかった。無効になる可能性は高かったが、町選挙管理委員会は判例をもとに「届け出時は形式審査のみ」として立候補を受け付けた。(若林幹夫) 関連ニュース 居住日数たりず得票数ゼロに 選管認知も候補に伝えず 兵庫県議選・伊丹選挙区 根拠は68年前の判例… 選管「無効」承知で“被選挙権なし”非公表 兵庫県議選・伊丹市

 増木氏は告示日の16日、届け出書類に町内のホテルを住所として記載。住民票は通常、確認資料の一つとして添付されるが、公職選挙法に定める「届け出に必要な文書」に含まれていない。選管職員が未提出を指摘した際、政治団体代表は「義務付けられていない。持ってきていない」として応じなかった。
 町選管は届け出を受理したが、その後、住民票の住所は別の場所にあり、被選挙権に必要な3カ月以上の町内の居住歴がないことを確認。21日の開票後、選管委員長が務める選挙長や立会人らによる選挙会で無効とすることを決めた。
 開票時まで無効にできなかったことについて、町選管は1961年の最高裁判例を理由に挙げる。60年にあった福島県遠野町(現いわき市)議選の有効性を争った訴訟で、「(選管は)届け出の形式審査をしなければならないが、被選挙権の実質審査をする権限はなく、開票の際の選挙会で立会人の意見を聞いて決定すべき」と判断された。
 総務省によると、届け出時に住所要件を満たしているかが確認できなくても不受理にできる規定がないという。県選管を通じて同省に対応を問い合わせた町選管の担当者は「届け出時は受けざるを得ない」と話した。
■有権者の権利守るべき
【日本大の岩井奉信教授(政治学)の話】法律の不備ではなく、行政側の運用の問題。半世紀前の判例にこだわりすぎだ。司法の判断も時代とともに変わっていく。立候補者の権利を重要視するよりも、有権者の投票を無駄にしないことを考えないといけない。各市町の選挙管理委員会が判断する問題だが、現実に今回のように投票が無効になるケースが起きた。有権者の権利を守るため、総務省は届け出時や開票前に被選挙権がないと明らかに判断できた際の対応についてガイドラインを示すべきだ。

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