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事件発覚から7年余り。裁判の資料を繰り、和解への思いを語る長女=明石市内
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事件発覚から7年余り。裁判の資料を繰り、和解への思いを語る長女=明石市内

 神戸市西区の介護付き有料老人ホームで2012年、当時70代の入居女性が介護職員に虐待を受けた事件で、女性の長女(42)らが元職員や運営会社などに損害賠償を求めた訴訟はこのほど大阪高裁で和解が成立した。介護する側の事情も知ろうと、自らヘルパー資格を取得するなど事件と向き合ってきた長女。和解内容に納得はしていないが、「少しでも(損害賠償などの)ペナルティーがあると示せれば、虐待の抑止につながるかもしれない」と受け入れた思いを語る。(紺野大樹)

 和解調書によると、元職員3人と運営会社が計約260万円を支払うなどの内容。和解は2月28日付。

 長女が母の異変に気付いたのは、入居から約9カ月がたった11年4月ごろ。体にあざが見つかり、「班長にやられる」「ベッドから落とされた」などと訴えるようになったという。

 虐待の実態は、長女と夫(46)がビデオカメラで隠し撮りをした映像で発覚した。男性職員が女性の顔を手ではたく場面や、女性職員が「柵持つん好きやろ。はよしんかい」「日本語分かる?」などと暴言を吐く様子が記録されていた。

 暴行が確認された3人は施設を解雇され、兵庫県警が12年2月に暴行容疑で逮捕。1人は不起訴となり、男女2人は執行猶予付きの有罪判決が確定した。14年に長女は母とともに、元職員3人と運営会社などを相手取り、損害賠償を求めて神戸地裁に提訴した。

 長女は母と長く2人暮らしだった。母が体調を崩して見守りが必要になったため、有料老人ホームへの入居を決め、2人でこの施設を含めて3カ所を見学。入居先は「あんた、決めて」と母に頼まれた。同じ建物内に病院があり、相談員の対応が良かったこの施設を選んだ。

 「私があの施設を選んでしまった。悔しい。安心はお金で買えなかった」。自責の念を抱え、訴訟も続く中でヘルパー2級の資格を取得した。介護する側の気持ちを知りたい、との思いからだった。

 「実習の現場では声掛けや共感の大切さを学んだ。自分で経験すれば、なぜ暴力を振るったのか理解できるかもと思った」と振り返るが、「(暴力の理由は)分からなかった」と語る。

 母は16年に亡くなった。「施設を退所後、4年ほどだけだったが、普通の暮らしができた。ただ事件さえなければ、もっと長く穏やかな時間が続いたのに…」と長女。「高齢者が安心できるように、(監督権限を持つ)行政ももっと目を光らせてほしい」と願う。

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