総合 総合 sougou

  • 印刷
今春に新設された「こなきじじい」の像で遊ぶ子どもたち=兵庫県福崎町西田原
拡大
今春に新設された「こなきじじい」の像で遊ぶ子どもたち=兵庫県福崎町西田原
大型連休には機械仕掛けのかっぱ人形「ガジロウ」目当ての観光客も大挙した=兵庫県福崎町西田原
拡大
大型連休には機械仕掛けのかっぱ人形「ガジロウ」目当ての観光客も大挙した=兵庫県福崎町西田原
柳田国男
拡大
柳田国男

 兵庫県福崎町で、地元出身の民俗学者柳田国男(1875~1962年)にちなみ、妖怪像を使った町おこしが始まって丸5年がたった。町内に置かれた像は20体。県内ワースト3だった観光客数も順調に伸びた。ゆるキャラ全盛時代に怖がらせる路線で盛り上がる一方、「仮に柳田が見たら叱るでしょうね」とは妖怪研究の専門家。聞けば、妖怪に対する根本的な「誤解」に行き着く。妖しいまちづくりの展望やいかに。(井上太郎)

 2014年、柳田の生家が残る辻川山公園(同町西田原)に、池で浮き沈みする不気味なかっぱ人形を置くと人気を集め、町は次々と妖怪像を増設。今年3月にも「こなきじじい」「油坊(あぶらぼう)」「すねこすり」などの4体が新設された。

 この大型連休中も「妖怪ベンチマップ」を手に写真を撮る家族連れが目立った。たつの市への帰省前に子ども2人を連れて来た宇都宮市の男性会社員(44)は「リアルな容姿が大人にも楽しめる。全部見て回りたい」と先を急いだ。

 だが、そんな町のシンボルを冷静に見る人もいる。初めて妖怪の論文で博士号を取った「妖怪博士」、兵庫県立歴史博物館の香川雅信学芸課長(49)は「柳田は妖怪の姿形や印象の固定化を嫌った。『造形なんてもってのほか』との指摘が聞こえてきそう」と話す。

 説明によれば、柳田は妖怪を「小豆を洗う音」「砂がかかる」など現象として捉え、農村地域の信仰を研究する手がかりに重宝した。文学や絵画に登場する分かりやすい妖怪を「絵空事」と切り捨て、著書「妖怪談義」では、かっぱの小説を書いた芥川龍之介や泉鏡花を「かっぱを馬鹿にしてござる」とくさした。

 「特徴的な容姿が定着した現代の妖怪は、99%が誤解でできている」と香川課長。実際に、同町には「柳田先生に対する冒とくだ」との抗議が大学教授から寄せられたこともあったという。

 だが、同町は19年度以降5年間で計25体の妖怪ベンチ増設を目指し、当面は造形路線をひた走る様子だ。担当者は「気軽に訪れた人たちが、妖怪や民俗学について『本当はどうなんだ?』と深掘りしてくれれば成功だ」と強調する。

【柳田国男】神東郡田原村(現兵庫県福崎町)生まれ。農政官僚時代に視察や講演旅行をする中で、民俗への関心を深めた。民間伝承を集め、日本民俗学を確立。民俗学の父とよばれ、著作「遠野物語」には河童(かっぱ)や座敷わらしなどが登場する。

総合の最新
もっと見る

天気(7月22日)

  • 29℃
  • ---℃
  • 50%

  • 31℃
  • ---℃
  • 50%

  • 30℃
  • ---℃
  • 50%

  • 30℃
  • ---℃
  • 60%

お知らせ