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取材に応じる土師守さん=神戸市中央区(撮影・秋山亮太)
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取材に応じる土師守さん=神戸市中央区(撮影・秋山亮太)

 1997年に神戸市須磨区で起きた連続児童殺傷事件で、小学6年の土師淳(はせじゅん)君=当時(11)=が亡くなってから24日で22年となるのに合わせ、父親の守さん(63)が神戸新聞社の取材に応じた。この時期に加害男性(36)が送ってきていた手紙は昨年に続いて今年もなく、「事件に向き合うことをやめてしまったのではないか」との懸念を強める。なぜ息子は命を奪われたのか。納得できる答えはまだ得られていない。(小林伸哉)

 事件当時14歳だった加害男性の手紙は2004年に初めて届き、その後も淳君の命日前に仲介の弁護士から受け取ってきた。しかし男性は15年、遺族に無断で事件についての手記を出版。守さんは「思いを踏みにじられた」と16、17年は受け取りを拒んだ。18年には手紙が途絶えた。

 「子どもへの気持ちは変わることはない。ずっと大事に思っている」と守さん。「私が手紙を読まないことと、加害男性が書かないこととは別次元の話。書き続け、事件と向き合うことは彼の義務であり責任」と語る。

 平成時代には多くの痛ましい事件が起きた。被害者自身が立ち上がり、支援制度の充実を図った。守さん自身も、00年に発足して18年6月に解散した「全国犯罪被害者の会(あすの会)」の副代表幹事として活動してきた。

 成果として、被害者の権利保護をうたう犯罪被害者等基本法の成立▽被害者側が刑事裁判で質問できる参加制度創設▽被害者らによる少年審判の傍聴を可能にする少年法改正▽殺人など重大犯罪の公訴時効廃止-などが実現した。

 ただ、まだ通過点とも感じる。例えば少年審判には成人同様の参加制度がない。自治体の条例にも一層の充実を求める。神戸市は18年、守さんらの体験に基づく要望を踏まえ、家族が被害に遭った子どもに家庭教師費用などを補助する全国初の条例を施行。他自治体の条例にも「被害者のきょうだいへの教育支援を加えてほしい」と願う。

 犯罪被害者の権利確立に尽力し、成果を生んだ平成。令和時代は「被害者を含めて弱者に優しい社会が重要」と考える。あすの会の活動を継承する「犯罪被害者の会(つなぐ会)」には引き続き関わり、ひょうご被害者支援センター理事としての活動も続ける。

 開始10年を迎えた裁判員裁判にも注文がある。残虐な事件で裁判員らが下した死刑判決が上級審で覆る事例もあり、守さんは「裁判員が非常に悩んで出した判決。それを裁判官だけの上級審で覆すことがあってはならない。制度が形骸化している」と危惧する。

 裁判員の心理的負担を考慮し、遺体や事件現場の写真などが示されない傾向については「公正な裁判のため、きちんと見るべきだ。見られないなら裁判員をやるべきではない」との考えを示した。

 神戸連続児童殺傷事件 神戸市須磨区で1997年2~5月に小学生5人が襲われ、3月に小4の山下彩花ちゃん=当時(10)、5月に小6の土師淳君=同(11)=が死亡した。兵庫県警は6月、殺人容疑などで中学3年の少年=同(14)=を逮捕した。少年は関東医療少年院に収容され、2005年に退院した。

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