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兵庫県教委が作成したいじめ防止のチラシ
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兵庫県教委が作成したいじめ防止のチラシ

 「A子は算数の時間に、問題を一生懸命解いていた。しかしあと一歩のところで解けずにいた。隣の席の算数が得意なB男は、A子の困っている様子を見て、解き方と答えを教えた。A子はくやしくて泣きだした」-。兵庫県内の学校で今春、これを「いじめ」の一例とするチラシが配られた。保護者らからは「これがいじめ?」「むしろ良いことでは?」と戸惑いの声も。全国でいじめが原因とみられる自殺などが相次ぎ、早期発見と対処の重要性が叫ばれる。県教育委員会に作成の意図を聞いた。(広畑千春)

 -なぜ、このチラシを?

 「啓発チラシは、2013年から毎年新しいものを作って県内の全学校に配っています。内容自体は兵庫県が独自に考えたのではなく、文部科学省が2016年に出したいじめ認知の手引きで、学校がいじめ事案として対応すべき事例として紹介されたものです」

 -なぜ、この事例を?

 「18年度の兵庫県内のいじめ認知件数は約1万3千件で過去最多でした。軽微なものでも積極的に認知するようになった結果ですが、それでも全国平均を下回り、いまだに『0件』と報告する学校もある。子どもたちの間で小さなトラブルは日常茶飯事。教師が『いじめ』と思っていなくても、当事者はつらい思いを抱き続けているケースもあるはずです。県内でもいじめが原因で子どもが命を絶つ事案が相次いでおり、いじめへの感度を高めるきっかけになればと、事例の中からあえて最も『そんなことが?』と感じられるものを取り上げ、タイトルも目を引くことを重視しました」

 -反応は?

 「保護者から『これがいじめになるんだったら教え合いもするなというのか』などの意見も何件かいただきました。もちろん、単純に『教えてあげる=いじめ』ではありません。ですが、教えられた子がすごく嫌だと感じ、日常的に勉強ができないとからかわれるなど両者や集団内の関係性によっては、心の傷を負わせ、深刻な『いじめ』につながることもある。そのことを知っていただきたいと」

 「いじめ防止対策推進法によるいじめの定義は『被害者が心身の苦痛を感じている』が根幹で、一見いじめと思えないことも『いじめの芽』として対処することが求められています。たとえ教師が『いじめの芽』と捉えて子どもの家庭を訪問し、指導しようとしても、親御さんに『そんなの、いじめちゃうやろ』とシャットアウトされては元も子もありません。教師はもちろんですが、ご家庭でも考え、理解していただけるきっかけになればと考えます」

■いじめの芽意識する機会に 鳴門教育大・阪根健二教授(学校教育学)の話

 法律上の「いじめ」の定義は、教師や保護者が子どものころとは大きく変わっている。チラシの例も(1)双方とも児童生徒(2)一定の人間関係がある(3)心理的・物理的影響を与えている(4)受けた側が心理的苦痛を感じている-といういじめの4要件に照らせば「いじめ」になる。文科省はこうした「兆候」や「芽」も含めて積極的に認知するよう求めているが、都道府県ごとの認知件数には大きな開きがあり、浸透しきっていないのが現状だ。学校現場でも戸惑いがある中、今回のチラシは思い切った対応だと評価できる。ただ、各校が保護者にこのチラシの真意を伝えることが肝要。それをして初めて、いじめの芽を意識する機会になる。

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