運転中の車外の映像を記録するドライブレコーダーが普及する中、兵庫県尼崎市は、マイカーにレコーダーを取り付ける市民に映像を提供してもらい、犯罪の抑止や事件事故の情報提供につなげる新事業を始める。個人や事業者らがメールアドレスなどを登録し、特定の映像が必要な場合に、該当する映像がないかを広く呼び掛ける。ドラレコに「動く防犯カメラ」の効果を期待し、今夏からのシステム運用を目指す。(大盛周平)
自治体が、市民にドラレコ映像の提供を求めるのは珍しく、兵庫県内では初の試みという。尼崎市によると、福井県坂井市が昨年夏に始め、大阪府吹田市も採用するなど全国で広がっている。
尼崎市は、市内で起きた事件事故の日時や場所などを、登録された市民や事業者のメールアドレスに送るなどし、映像があれば市内の3警察署に届け出てもらう仕組みを想定する。
協力を申し出た市民や事業者には、ドラレコ搭載を示すステッカーを配布して車に貼ってもらい、あおり運転や、市内では県内2番目に多い車上狙いなど犯罪抑止にもつなげる。
同市は、公用車にレコーダーの取り付けを始め、市内のコンビニに防犯カメラの映像を提供してもらう協定を結んでいる。市の担当者は、市民にも協力を求める狙いについて「公費で多くのカメラを街頭に設置するより、効率がよい」とコストの低さを挙げる。同市は今後、3警察署と協議し、メールの登録先や映像の回収方法などの具体化を図る。
