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26年にわたって「母」を上演してきた河東けいさん=神戸市東灘区の自宅(撮影・後藤亮平)
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26年にわたって「母」を上演してきた河東けいさん=神戸市東灘区の自宅(撮影・後藤亮平)

 93歳の女優、河東(かとう)けいさん(神戸市東灘区)がライフワークとして続けてきた一人舞台「母~多喜二の母~」が、30日の公演で最終回を迎える。自由な言論が封じられた戦争の恐ろしさと、子を思う母の愛を舞台から語ってきた河東さん。健康上の理由で四半世紀の活動にひとまず幕を下ろすが、「再びあんな時代にならないように」と、作品への思いは今も熱い。(溝田幸弘)

 「母」は三浦綾子さんの小説が原作で、戦前のプロレタリア作家、小林多喜二(1903~33年)の母セキを描いた。「蟹工船(かにこうせん)」で知られる多喜二は、特高警察の拷問に遭い29歳で命を落とした。作品はセキが自身の半生を振り返る形で、貧しくとも温かな家族の暮らし、強まる戦時色、そして多喜二の死を、秋田弁交じりに淡々とたどる。

 河東さんは93年6月、一人芝居として神戸で初演した。北海道や東京など全国を回って評判を呼び、中国、韓国でも上演。2015年からは朗読形式の「ひとり語り」に模様替えし、約4年間で36回公演してきた。

 04年度に神戸市文化活動功労賞、15年度に神戸アート・アワード大賞。舞台のほか自宅で朗読教室を開くなど、現在も精力的に活動する。

 とはいえ高齢の河東さんに舞台活動は身体的負担が大きく、主催する神戸芝居カーニバル実行委員会は今月30日の公演を最後にすることにした。実行委の中島淳さんは「神戸近辺での小集会ならまだできるが、舞台公演は難しくなってきた」と話す。

 演劇を始めて65年以上という河東さんは、第2次大戦のさなかに思春期を過ごし、神戸空襲も経験。関西芸術座(大阪市)の創立メンバーとして数々の舞台で活躍する一方、03年のイラク戦争時には関西の演劇人らと「大阪女優の会」を立ち上げ、反戦・平和を訴える作品を世に問うてきた。

 「母」について「国の方針に反対すると投獄される、日本の一番嫌な時代が書かれた作品。気付いたらあんな時代になっていたというのが一番怖い。役者として、いい本に巡り合えた」と話している。

 30日午後2時、神戸学生青年センターで上演する。前売り2千円、当日2500円、障害者・高校生以下1500円。神戸芝居カーニバル実行委員会TEL090・1914・4907

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