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団塊世代出番塾が中心となって企画された「田能のサトイモ」の植え付け作業=尼崎市田能6
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団塊世代出番塾が中心となって企画された「田能のサトイモ」の植え付け作業=尼崎市田能6
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 昭和から平成を駆け抜けた団塊の世代。世代全員が75歳以上の後期高齢者となり、社会保障費の増大などが懸念される「2025年問題」が注目され、社会のマイナス要因として捉えられがちな団塊世代の人たちが兵庫県尼崎市で、精力的に活動している。「支えられるのではなく、社会を支える側に」と、今春からは市街地の農地を耕し、同世代での社会貢献を目指す。その名は「団塊世代出番塾」-。(大盛周平)

 工場などが連なる尼崎市田能地域。4月下旬、約500平方メートルの畑には、約30人のボランティアらが集まった。

 「すごいね。予定より早く作業が進んでますよ。でも、腰やっちゃうから無理はしないで」とメンバーが呼び掛けた。団塊世代ならではともいえる仕事への熱意、責任感の強さで、地域の伝統野菜「田能のサトイモ」を植え付ける作業は着々と進んだ。

 農地再生に取り組む「尼崎都市農地再生協議会」が担い手不足などに陥った農地を借り、体験型農業などの場所として活用。今年はサトイモを栽培し、12月に近隣の保育園児らを招いた収穫祭を計画する。将来的には大学と連携した特産品の開発も視野に入れる。

 この協議会の生みの親が「団塊世代出番塾」。協議会代表に就いた同塾の中村昇さん(70)は、尼崎市の元副市長だ。中村さんは「団塊世代に『まだまだ活躍できる場があります』と呼び掛けたい。その機会をつくった」と話す。

 同塾は2016年末、中村さんら行政経験者、自営業者、神社の宮司に自治会長など、団塊世代の有志数人で結成した。同級生が二百数十万人に上った世代。世代の人口が突出しているだけに、社会を支える側だった現役時は日本経済をけん引する労働力として重宝されたが、引退を迎え、支えられる側になると、社会保障費の増大、介護・福祉での人手や施設の不足を招くなど、負の側面ばかりが指摘される。そこで塾のメンバーは「今でも社会の役に立てる人は多い」と奮い立った。

 活動は昨年から本格化し、素人歌舞伎の開催や次世代との「トークバトル」の場を設けたりと、さまざまなイベントを通して団塊の世代を呼び込もうと画策してきた。そして発案したのが都市農地の利用だ。特産品の共同開発や障害者の雇用も念頭に、協議会は園田学園女子大や地元の社会福祉法人も参入してもらい、県の補助金も受ける予定だ。

 金融関係の仕事をリタイアした兵庫県伊丹市の男性(69)は同塾のメンバーに誘われて参加。家庭菜園が趣味だったこともあるが、「他の人の役に立つんだったらうれしいからね」と、動機は社会への貢献だ。出番塾は会則もなければ会費もない。自身もメーカーを退職後、農業を続ける同塾の男性(71)は「事業を軌道に乗せ、若い人につなげていけたら。姿を現していない団塊世代の人たちに、ぜひ手伝ってほしい」と意気込んでいる。

■介護職34万人不足の試算

 団塊の世代が全員75歳以上になり、社会保障費の急増が見込まれる「2025年問題」。国は医療や介護、年金など社会保障給付費が18年度の約120兆円から25年度には20兆円程度増加すると見込んでいる。介護職約34万人が不足するなどの試算もあり、国と自治体が対応を迫られている。

 国は、高齢者が住み慣れた土地で医療機関や福祉施設などのサービスを一体で受ける「地域包括ケアシステム」の整備を進める。拠点は、保健師やケアマネジャーらを配置した「地域包括支援センター」で、兵庫県によると、県内全41市町で計204カ所が開設され、社会福祉法人などが運営する。

 同センターは地域の医療機関につなぐ相談に応じ、介護予防なども担う。ただ、国立社会保障・人口問題研究所(東京)の17年の推計によると、25年の後期高齢者人口は2180万人となり、全人口に占める割合は15年の12・8%から18%近くにまで増加する見込み。兵庫県高齢政策課は「対応するためには、マンパワーや予算が課題」としている。

【団塊の世代】戦後の第1次ベビーブーム(1947~49年)に生まれ、3年間の合計出生者数は800万人を超える。作家の故堺屋太一氏が76年の同名小説で名付けた。学生運動や高度経済成長、バブル景気などを経験。現役時代は右肩上がりの成長が長く続き、年功序列、終身雇用制の下でパワフルに働くとともに、購買意欲も旺盛で市場を開拓。一方で戦後の経済成長を支えたという自負、競争意識やこだわり、押しの強さなどから、下の世代からは煙たがられる一面も。

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