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授業を終えた小学生の居場所となる学童保育。開所時間の延長に必要な職員の確保に苦戦している=神戸市西区枝吉4、枝吉児童館
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授業を終えた小学生の居場所となる学童保育。開所時間の延長に必要な職員の確保に苦戦している=神戸市西区枝吉4、枝吉児童館

 授業を終えた小学生を預かる放課後児童クラブ(学童保育)を巡り、兵庫県が創設した支援制度の利用が広がっていない。県は2018年度、保護者の負担軽減を目的に開所時間を延長するクラブへの人件費補助を始めたが、手を挙げたのはわずか1クラブ。背景には県がニーズを十分に読み切れなかったことに加え、遅い時間まで働ける職員の確保が難しいという悩みもある。(伊田雄馬)

 「一定のニーズはあると思ったが…」。県こども政策課の担当者は言葉少なに語る。

 県によると、昨年5月時点で県内の学童保育は約千施設に上り、預かり時間は大半が午後6時半~7時まで。これを同7時半まで1時間延長した場合は1クラスにつき年間9万円、30分延長した場合は4万5千円を支給するのが補助制度の仕組みだ。県は約470クラスの利用を見込み、18年度予算に約1350万円を積んだ。

 制度づくりの根拠としたのが、総務省の「社会生活基本調査」。これによると、県内在住者の平均通勤時間は1時間超。このため「保護者が午後6時に仕事を終えた場合、同7時までに迎えに行くには余裕が少なすぎる」と考え、同7時半までの延長を後押しする制度を新設した。

 しかし、申請があったのは神戸市須磨区の1カ所だけだった。小1の長男を午後7時まで預けてパートに出る同市西区の主婦(40)は「夕飯の支度もあり、開所時間が延長されても今の時間帯で利用する」。市町からも「午後7時までで十分」という反応が目立ったという。

 県は3年間は制度を維持する方針。19年度予算でも前年度とほぼ同額の1426万円を確保しており、担当者は「周知に力を入れたい」としている。

 一方、振るわない理由には人手不足もある。

 「職員を夜に回せば、子どもが多い昼から夕方が手薄になる。延長に必要な人数の確保は難しい」と話すのは、神戸市西区の学童保育「枝吉児童館」の小林利江館長。同館は常時50人近い児童を受け入れる。「職員は主婦が中心で、親の介護を担っているケースもある。遅い時間まで働けない人が多い」と打ち明ける。

 また、夏休みなどの長期休暇は午前から、それ以外の期間は午後からという変則的な勤務体系も採用の壁になっているという。

 神戸市では職員の登録制を導入し、施設側とのマッチングに取り組むが、18年度の登録者数は39人。うち採用につながったのは19人にとどまった。

【現場の反発大きい 学童保育に詳しい岡山大の中山芳一准教授(教育方法学)の話】 兵庫県が導入した補助制度は、学童保育の施設が自宅や駅から遠いなど、地理的な制約の多い地域では一定の需要があるかもしれないが、それ以外の地域でのニーズは低いのでは。開所時間の延長は現場の反発も大きい。地域の高齢者ボランティアの力を借り、正規職員の勤務時間を後ろにずらすなどしなければ人数の確保は難しい。

■保育士など配置義務、5月に撤廃 市町「誰でもよいわけでない」

 厚生労働省によると、昨年5月1日時点での学童保育の登録児童数は全国で約123万4千人。前年から約6万3千人増え、過去最多を更新した。同省は今後も増えるとみて、2023年度末までに30万人分の受け皿整備を目指すという。

 課題となる施設側の職員確保に向け、5月には児童福祉法も改正された。それまでは「1教室につき2人以上」の職員配置が義務付けられ、うち1人は保育士や社会福祉士などの資格が必要だった。改正により、これらの規定は自治体が「参考にすべき基準」となり、事実上、職員1人でも運営が可能になった。

 ただ、兵庫県内の市町からは慎重な意見が相次ぎ、人材確保に結び付くかは不透明だ。神戸市の担当者は「学童保育は子どもの心を育む場。人が足りないからと言って、誰でもよいわけではない」。姫路市も「子どもの安全のため、従来通りの基準で運営する」としている。

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