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休み時間も立ち番をして、生徒に異変がないかさりげなく目を配る教員=神戸市長田区真野町、市立長田中学校
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休み時間も立ち番をして、生徒に異変がないかさりげなく目を配る教員=神戸市長田区真野町、市立長田中学校

 学校現場でのいじめや体罰が、兵庫県内をはじめ全国で後を絶たない。だがこの間、国政ではいじめ防止対策推進法の実効性向上を目指す改正論議が滞り、教員が児童生徒らと向き合う時間を増やすための学校組織改革も道半ばだ。悲劇を繰り返さない教育環境を-。21日投開票の参院選を前に、被害者家族や教員らは切実な思いで論戦に耳を傾ける。(佐藤健介)

 「問題をなかったことにせず、向き合い、再発防止につなげて」。神戸市垂水区で2016年、いじめを苦に自殺した中学3年の女子生徒の母親は訴える。

 13年9月の同法施行以降、法が定める重大事態の原因調査を目的に、各地の教育委員会が第三者委員会を設置。だが、遺族が納得できる結果が示されず、自治体首長が判断した再調査で詳細が判明するケースが相次ぐ。垂水区の女子生徒の場合も、母親らの求めに応じて発足した同市の再調査委員会が今年4月、いじめが主因と認めた報告書を公表したが、自殺から約2年半もたっていた。

 文部科学省によると、自殺した児童生徒数は10~13年度が793人だったが、施行後の14~17年度は942人と増加。17年度の原因はいじめ4%に対し、56%が「不明」とされる。「学校での事故や事件の多くが未解明だ」。小学生の長男が担任に体罰を受けて自殺した内海千春さん(60)=同県たつの市=は、再発防止が進まない現状を危ぶむ。

 遺族らは、学校や教委の責務を同法で詳細に定めるよう主張。与野党の勉強会は改正法案のたたき台に盛り込んだが、4月に示された座長案では大幅に削られた。現場の負担に配慮したとするが、遺族側は「子どもの命より大人の都合が優先なのか」と反発。参院選でも、実効性を持たせる改正論議を候補者に求める。

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 いじめや体罰は教員の多忙も背景にあり、子どもの悩みと向き合う時間が取れず、ストレスが暴力的な指導の引き金になり得るとされる。中央教育審議会は1月、残業は月45時間、年360時間までとする上限を守るよう答申。文科省の16年度調査では、残業が過労死ラインの月80時間を超える教員が小学校で約3割、中学校で約6割に上った。

 神戸市立長田中学校(同市長田区)は、スクールカウンセラーも交えた定例会議でいじめ情報を共有。休み時間にも教員が立ち番をして、生徒と会話しながら異変を把握する。ただ、家庭訪問が多いクラスでは月約80件に上るなど、長時間労働を完全には是正できていない。野方俊克校長(54)は「事務作業を代行するスタッフも含め、人手を増やせれば、子どもをより丁寧にケアできる」とみる。

 県立阪神昆陽高校(伊丹市)は、職員室のレイアウトを一新。教員同士が顔を見て話しやすいよう、机に積まれた資料をロッカーに移すなどした。部活動の顧問が練習に身が入らない生徒の話をすると、担任がすぐに協力するなど、問題を抱え込まない関係が築けつつあるという。尾原周治校長(59)は「体制を充実させるため、学校の裁量で使える予算を増やしてほしい」と政治に期待する。

■実効性担保、予算措置が必要/金山健一神戸親和女子大教授(学校心理学)の話

 いじめ防止対策推進法の改正は、たたき台から削除された「いじめ対策主任」設置の場合の養成体制を確保するなど、学校、教師、地域、被害者と家族らが納得のいく議論が必要。実効性を担保するには予算措置とセットでなければならない。米国の学校は授業やいじめ対応などで分業制を敷いているが、全ての仕事を担うことを粋に感じてきたのが日本の教員。外部人材の活用で仕事を軽減し、生徒指導の文化を若手に伝える環境を整えるべきだ。

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