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西日本豪雨による土砂崩れで解体を余儀なくされた民家も。住宅の基礎部分だけが残る=神戸市灘区篠原台
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西日本豪雨による土砂崩れで解体を余儀なくされた民家も。住宅の基礎部分だけが残る=神戸市灘区篠原台
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 1年前の大阪府北部地震や西日本豪雨でも課題になった被災者生活再建支援制度を巡る議論が、参院選(21日投開票)で置き去りにされている。同制度では家屋の損壊割合が半壊以下だと対象から外れ、生活再建の柱となる「住まいの復興」を果たせない被災者が災害のたびに相次ぐ。自治体側は制度の拡充を国に求めるが、選挙公約で正面から改善を打ち出すのは一部の野党にとどまっている。

(金 旻革、竹本拓也、末永陽子、長谷部崇)

 「住宅再建制度の在り方を議論する候補者がいない」。神戸市長田区の電気設備業の男性(52)はため息をついた。

 昨年7月の西日本豪雨で同区の高台にある自宅は基礎部分が流出。居間の下には空洞が広がった。同区内で借りたマンションでの生活が続く。

 家屋の損害割合は、当初は「一部損壊」。再調査で「半壊」と認定され、税金の減免措置が受けられた。ただ、再建には斜面の擁壁工事も必要で、費用は試算で約3千万円。住宅ローンは65歳まであり、とても払えない。「個人では到底首が回らない。被災者に根差した訴えを選挙戦で聞きたいが…」。男性はもどかしさを募らせる。

 神戸市灘区篠原台の女性(60)は、西日本豪雨による土石流で自宅の玄関や門扉などが被害に遭ったが、「一部損壊」。修繕費用は約100万円を自己負担した。「復旧が決して楽でないということを分かってもらいたい」

     ◇

 被災者生活再建支援制度は、阪神・淡路大震災で被災者への公的支援を求める市民運動が展開されたのを受け、議員立法で創設された。その後も支給額の引き上げや使途制限の撤廃などで使い勝手が大幅に改善され、現在では全壊または大規模半壊の世帯などに最大300万円が支給される。ただ、半壊や一部損壊が制度の枠組みから外れるという課題は残ったままだ。

 このため多くの自治体は、支援対象外の被災者のための独自制度を設ける。昨年6月の大阪府北部地震では、住宅被害の99%超(約5万棟)を一部損壊が占めた。被害が大きかった高槻、茨木市などは一部損壊でも修繕費用に支援金3万~20万円を支給したが、必ずしも十分とは言えないのが現状だ。

 「支援格差」は全国知事会も課題として共有し、昨年11月に半壊世帯までの制度拡充を国に求めた。今年6月には国と自治体が同制度を議論する会議も始まった。災害が相次ぐ中で被災者の視点を重視する機運が高まっているが、参院選の公約で同制度の拡充を訴える政党は、国民民主党や日本共産党、社民党などにとどまる。

 兵庫選挙区でも立候補者が演説などで取り上げる機会はほとんどない。与党側の新人は「課題の一つだが、限られた演説時間の中では党が重視する公約の説明が優先される」。野党側の新人は「街頭演説では政策をあまり聞いてもらえない。とにかく名前を有権者に伝えないといけない」と語った。

■法律で等しく支援すべき

【日弁連災害復興支援委員会の津久井進委員長(兵庫県弁護士会)の話】半壊や一部損壊世帯への支援の乏しさは大きな災害が起きるたびに課題に挙がる。法律で等しく支援すべきだ。住んでいる場所や保有する財産の違いで被災者の格差を広げてはならない。自助、共助、公助のバランスが大事であり、公助に当たる支援制度は圧倒的に不十分。次の災害で同じことを繰り返さないため、政治家は被災者に寄り添う制度の在り方を議論してほしい。制度によって苦しむ被災者をなくさなければならない。

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