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主権者教育の講演に耳を傾ける高校生=神戸市内
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主権者教育の講演に耳を傾ける高校生=神戸市内

 選挙権年齢が18歳以上に引き下げられてから、3年を経て実施される今回の参院選(21日投開票)。この間、文部科学省は若者の政治参加を進める「主権者教育」の充実をうたい、高校などで出前講座や模擬投票が行われてきた。だが、各選挙での若者の投票率は軒並み低迷。関心を高めるには、学校で各政党の主張などを教えるべきだとの声もあるが、教員には政治的中立性の徹底が求められており、模索が続いている。(太中麻美)

 神戸市内の高校で7月中旬、外部講師を招き主権者教育の講演会が開かれた。講師は政党ごとの主張の違い、参院選の争点などを紹介。「学校で衆院、参院の仕組みは教わってきたんだけど、政党の主張は自分で調べ、選挙に行かないといけないんだと分かった」。生徒の感想からは、実際の政治には踏み込みにくい学校現場の実態が浮かんだ。

 甲南大法学部の平野淳一准教授(地方行政論)は「学生運動の記憶から、教育に政治を持ち込むことが今もタブー視されているのでは」とみる。大学紛争の高まりを受け、文部省(当時)が1969年に出した通知では、政治教育で具体的な事例を取り扱うことについて「教師の個人的な見解や主義主張が入り込むおそれがある」とされていた。

 文科省は2015年にこの通知を廃止し、授業では具体的な政治的事象も扱うよう促した。一方、教員向けの指導資料には「特定の見解を自分の考えとして述べることは、教員の認識が生徒に大きな影響を与える立場にあることから、避けること」と記載される。

 神戸市内の50代の高校教諭は「非常に神経を使う。保護者から『そもそも棄権する権利もあるのに、学校で投票を呼び掛けるのはおかしいのでは』と言われたこともある」と明かす。自身の信条を生徒から問われることもあり「誘導や偏向だと受け取られないよう気を付けて答えている。突っ込んだ話をすればリスクはあるが、覚悟を決めて授業をするしかない」と漏らす。

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 国政選挙で初めて「18歳選挙権」が導入された16年の前回参院選。兵庫県内では10代投票率は44・74%(全国46・78%)だったが、17年の前回衆院選では32・08%(同40・49%)と全国ワースト2位となった。

 「選挙直前に付け焼き刃で投票を呼び掛けるだけでは、政治への関心を高めることはできない」。県立尼崎小田高校(尼崎市)の福田秀志主幹教諭(58)は、十数年前から主権者教育に取り組んできた経験を踏まえ、そう断じる。

 授業では、生徒たちが身近な地域課題に触れる機会を増やし、政治との関連性を意識付けることに力を入れる。選挙直前には模擬投票も行うが、「選挙はあくまで政治参加の手段の一つ」と指摘。22年度に高校で新科目「公共」が設けられるのを控え、「主権者教育は教員個人の知識や熱意に左右されているのが現状。消極的になる先生もいるが、若い世代を育てていく必要がある」と話す。

 平野准教授は「生徒は判断力が伴う前の年齢。教員が二の足を踏むのも分かる」とした上で、「実際の政治的課題を扱い、多様な立場の意見に触れることが政治への関心を高めることにつながる」と強調する。

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