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囲碁の発達障害への効果について研究した書籍を出版した正岡徹さん(右)と哲さん=大阪市中央区、関西棋院囲碁サロン
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囲碁の発達障害への効果について研究した書籍を出版した正岡徹さん(右)と哲さん=大阪市中央区、関西棋院囲碁サロン

 「発達障がい児の囲碁治療の試み 宝塚の一年」と題した書籍を、関西棋院理事長で医師でもある正岡徹さんが、弟で精神科医の哲さんらと共著で出版した。発達障害がある子どもたちの集中力が高まるなど、囲碁を通じてどのように症状が改善していったか、さまざまな実例とともに解説している。(溝田幸弘)

 正岡さんは白血病治療に長年取り組み、骨髄移植推進財団(現・日本骨髄バンク)理事長などを歴任。囲碁は若い頃からたしなみ、2017年に関西棋院理事長に就いた。囲碁の発達障害に対する効果に目を向けたのは、広汎性発達障害と診断された大阪の少年との出会いがきっかけだった。

 少年は小1でいじめに遭って不登校になったが、小3の時に自宅の碁盤に興味を示し、囲碁クラブの指導者に定期的に個人指導を受け始めた。対人恐怖が強く、最初は母親が同席しないと座れない状態。集中が途切れると、体操で気分転換をするなどして続けた。

 そのうち指導者に信頼を寄せ、いろいろな話をするように。小6になると「学校に行く」と言い、小中学校を無事卒業して公立の進学高に入ったという。この事例は同書の「最初の一例」と題した章で詳述しており、正岡さんは「囲碁がこの子の一生を救ったと考えている」と話す。

 16年からは哲さんの協力も得て、発達障害のある小中高生らを受け入れる宝塚市の放課後等デイサービス施設「チャレンジ・キッズ宝塚」で囲碁の指導を始めた。最初は講師と子どもの一対一で始め、集中できるのは15分ほどだったのが30分間続くようになり、子ども同士での対局も可能になった。

 同書には他にも医師や研究者など全11人が寄稿。「安心感を与える」「ほめ言葉が重要」など、子どもたちへの接し方についても紹介している。

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 発達障害には注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、自閉症スペクトラム障害などの種類があり、囲碁がその子に向いているかどうかはやってみなければ分からない。ただ「発達障害の子は周囲から変な子と思われ、怖いことに自分でも自分がちょっと変な子と思うようになる」と正岡さん。「囲碁で他の子と対等に遊べる、社会とつながっていると感じられる。それが非常に重要で、子どもに自尊心が生まれる」と力を込める。

 現在は医学的根拠となるデータの収集を進める。「囲碁が子どもの幸せの役に立つということを示したい」と語る。

 112ページ、1300円(税込み)。囲碁梁山泊TEL06・4309・5452

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