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村上弘さん=京都市、立命館大学
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村上弘さん=京都市、立命館大学

 参議院選挙がきょう投開票を迎える。新時代「令和」に入り、初の国政選挙となる。暮らし、子育て、年金、消費税、そして憲法…。候補者たちの主張を見極め、私たちの未来のために1票を投じる日だ。ただ、昭和時代に6~7割台だった投票率は平成時代、平均5割台と振るわない。有権者に政治参加を促すためにはどんな視点が必要なのだろう。立命館大学の村上弘教授(政治学、行政学)に聞いてみた。(段 貴則)

 -有権者にとって投票とは?

 「まさに政治参加の身近な機会だ。政治学では投票行動を説明する際、有権者にとっての便益=メリットを考える。(1)選挙の争点が重要という認識、(2)争点を巡る政党間の主張の違いの認識、(3)投票で議会の構成が変わりうるという認識。この三つがそろい、その上でメリットを感じないと、有権者は投票する気にならない」

 -現状は、なかなか投票率が上向きません。

 「先ほどの3点を認識するハードルが高くなっているからだろう。(1)の争点では、年金など身近なテーマ以外で関心を持つには勉強が必要。(2)も政党の違いが分かりにくくなった。以前は、投票先を選ぶ基準の一つに『保守か、革新か』の基準があったが、今は『保守か、リベラルか』に変わった。欧州の左派と右派、米国での保守・リベラルの色分けは、どの政党を指すのかの共通認識があるが、日本ではそうではない」

 -なぜ政党の違いが分かりにくくなったのでしょう。

 「保守とリベラルの違いは何か、各党の立ち位置は軸のどこなのか、自分の考えはどの政党に近いのか、その見取り図がないからだ。無党派層の増加は、まさに政党への信頼低下、政党の衰退を表している。各政党が重要な政策や主張で対立軸を明確に打ち出せば、無党派層を引きつける効果がある。投票率も上がるかもしれない」

 -有権者には「棄権」も意思表示の一つとする意見があります。

 「棄権をどう扱うかは、政治学の教科書によっても違いがある。私は棄権することで、政治不信は表現できても政治的効果はないと考える。棄権や白票が多くても、選挙が無効になったり当選者が変わったりはしないからだ」

 「むしろ棄権した人にとって、ネガティブな効果が生まれる。データで証明をしなければならないが、投票所に足を運ぶ人は特定のグループに偏りかねないからだ。政治不信を理由に棄権したり、白票を投じたりすることは、特定のグループに白紙委任することになり、結果的に自分の考えとは異なる人たちを利するリスクがある。低投票率は、ポピュリズム(扇動政治)勢力や固定の支持層がいる政党に歓迎される」

 -有権者は、どうすれば1票の重みを実感できますか。

 「衆院小選挙区や参院の選挙区では、有権者の1票が変動を生む可能性がある。先ほどの(3)について言えば、選挙結果の注目点は一つではない。与党の議席が増えるか減るか、あるいは改憲勢力が3分の2を維持するか割るか、いずれにしても選挙後の政治に確実に影響する。その点を有権者が知っておくことが大切だ。そもそも選挙の目的は良い政治を選ぶだけでなく、悪い政治を避けることでもある。棄権するよりも、少しでもマシだと思う政党や候補者に1票を投じる方が得だと考えたい。政治の世界では、理想的でなくてもマイナス面を抑えることに大きな意味がある」

 -若い世代の政治意識について、どう感じていますか。

 「昔はみんなで新聞を読んだり周りの人と話したりしたが、今ではその機会が減っている。自然に政治感覚を身に付ける時代ではなくなっている。高校でも、あまり現実の政治に関する教育をしない。バランスに配慮する必要はあるが、重要な争点や政治の特徴はしっかり教えるべきだろう。法律や経済は勉強しなければ分からない。政治についても同じことが言える。政治の『面白さ』を含め、若い世代にどう教えるか。政治学者としての悩みでもある」

【むらかみ・ひろし】1954年京都市生まれ。京都大院修了。著書に「新版日本政治ガイドブック 民主主義入門」(法律文化社)、共編著に「よくわかる行政学」(ミネルヴァ書房)など。

▼参院選兵庫選挙区の投票率の推移 直近の過去5回の投票率をみると、2004年55.11%、07年56.61%、10年54.41%、13年53.02%、16年53.74%で推移している。

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