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斎藤茂太賞の授賞式に出席したたかはたゆきこさん(左)と母浩美さん=東京都千代田区、日本プレスセンタービル
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斎藤茂太賞の授賞式に出席したたかはたゆきこさん(左)と母浩美さん=東京都千代田区、日本プレスセンタービル

 脳出血で寝たきりになった母と、オーストリア旅行を目指す-。兵庫県三田市の女性たかはたゆきこさん(45)による挑戦の日々をつづった著書がこのほど、旅に関わる優れた著作に贈られる「斎藤茂太賞」(日本旅行作家協会主催)を受賞した。「介護をしていても、されていても、おでかけを通して人生を楽しむことができる」。母娘二人三脚、再生の物語に共感が広がっている。(永見将人)

 母浩美さん(72)が2013年に倒れ、左半身のまひに加え、物の左半分を認識できなくなり、記憶障害も残った。当時38歳のたかはたさんは仕事を辞め、在宅介護をすることに。バイオリン教師だった母が「もう演奏できないかもしれない」と涙する姿に、かけた言葉が「ウィーンへ行こう」だった。

 周囲が無謀だと言っても、2人は本気だった。著書のタイトルにもなった「おでかけは最高のリハビリ」は、もともと浩美さんの口癖。たかはたさんの妹優子さん(37)は生まれつき脳性まひがあり、浩美さんは積極的に外出させることで、たくましく育てた。その経験が2人の背中を押した。

 目標はウィーン旅行。浩美さんはリハビリに励み、たかはたさんは介護の合間の内職でこつこつと貯金した。16年6月に設定した旅行が近づくにつれ、浩美さんの記憶力や理解力は急激に回復。文字を読めるようになり、手すりを持って立てるようになった。「母は旅行のために回復した」とたかはたさんは記す。念願かなったウィーンのコンサートホールで、2人は喜びをかみ締めた。

 「介護に夢を感じさせる」「かなりの困難を乗り越え、読む人に心地よい感動を与えてくれる」。体験を著した「おでかけは最高のリハビリ! 要介護5の母とウィーンを旅する」(雷鳥社)は、審査員らからの称賛を受けた。7月25日に東京都内で開かれた授賞式で、選考委員の一人、作家の椎名誠さんは「今までなかったジャンルの作品。素晴らしい可能性を開いた」と講評を述べた。

 浩美さんはさらに回復が進み、たかはたさんは働きに出られるように。経験を生かして介護士の仕事に就いた。浩美さんはバイオリンにも挑戦。たかはたさんが弦を押さえ、浩美さんが弓を動かす「2人バイオリン」の練習に励み、8月25日には三田市内で子どもたちのオーケストラコンサートに出演予定だ。

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