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公式戦通算千勝を達成した谷川浩司九段(右)。左は羽生善治王位(当時)=2002年7月13日、北海道旭川市
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公式戦通算千勝を達成した谷川浩司九段(右)。左は羽生善治王位(当時)=2002年7月13日、北海道旭川市

 将棋の八大タイトルの一つ「王位戦」は今年で第60期を迎え、人間でいえば「還暦」。現在は豊島将之王位と挑戦者・木村一基九段が全国を転戦し、熱い戦いを繰り広げている。長い歴史のある棋戦について、兵庫県在住の王位経験者・内藤國雄九段と谷川浩司九段に振り返ってもらう。

     ◇     ◇

 1993年に初めて王位を獲得した羽生善治はその後、郷田真隆や深浦康市、佐藤康光らの挑戦をことごとく退けた。96年には史上初の七冠同時制覇を達成するなど、完全に一時代を築く。

 羽生が王位6連覇を達成した翌年の99年の第40期。神戸市出身の谷川浩司が7年ぶりに7番勝負に登場する。

 95年、阪神・淡路大震災直後、第44期王将戦7番勝負最終局で谷川が勝って羽生の七冠を阻止するなど、2人は数々の名勝負を繰り広げてきた。タイトル戦では90年の第3期竜王戦を皮切りに七大棋戦すべてで番勝負を戦っているが、王位戦では99年が初めてだった。

 この時は4-0で羽生が防衛。翌年の第41期はフルセットの激闘となるが、やはり羽生がタイトルを守る。

 〈99年は、挑戦者になるまでは非常に調子が良かったんですが、番勝負に入ってからは良くなかった。次の2000年度は王位戦だけでなく王将戦、棋聖戦でも番勝負でぶつかるなど1年間で23局。一番羽生さんと多く対局をした年です〉

 最も谷川の印象に残っているのは、3度目の激突となった02年、第43期の7番勝負だ。

 羽生は01年に屋敷伸之の挑戦を退け王位9連覇を果たし、02年に防衛を成功すれば10連覇。谷川は佐藤康光との挑戦者決定戦を制し、通算千勝の大台まであと1勝。共に大記録を懸けて臨んだ。

 北海道旭川市での第1局。谷川は勝利し、プロ入り25年6カ月、40歳3カ月と史上最速、最年少(当時)での通算千勝を達成する。そのことが、谷川の闘志をさらにかき立てた。

 〈千勝達成直後に祝賀会を、という声を頂いたのですが、王位戦がスタートしたばかりですから、シリーズが終わってからと返事をしたことを覚えています。タイトルを取れなかったらパーティーをしていただくのも恥ずかしいので、そういう意味でも気合の入ったシリーズではありました〉

 一方、このころには羽生との対局も130局を数え、心境に変化が生じていた。

 〈当初のピリピリした関係とは変わって、お互い2人で良い作品を作り上げていくという…もちろん、勝負を争いながらなんですけれども、芸術性も重視するようになってきたのではないかな、と思いますね〉

 棋譜を見れば、今、相手はどの戦法のどういう局面をテーマにしているかが分かる。一手一手に込められた思いを、互いにすぐ感じ取れる。何度も対局してきたからこそ、相手の考えが見えてくる。

 〈最初の数手を見れば、今日の羽生さんはこういう将棋を指したいと思っているなというのが分かる。それに応じることもあれば、こちらにはこちらのやりたいこともあるので…ということもありました〉

 シリーズ最終となった第5局は2日目の朝に千日手が成立する。その日の午前10時すぎに始まった指し直し局で谷川は羽生を破り、4勝1敗で10期ぶりに王位に復位。内容的にも記憶に深く残る一局となった=別項。谷川は翌03年も羽生の挑戦を退け、通算6期目となる連覇に成功している。=敬称略=

(溝田幸弘)

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