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30年にわたるゼミでの方言研究について話す都染直也教授=神戸市東灘区岡本8、甲南大
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30年にわたるゼミでの方言研究について話す都染直也教授=神戸市東灘区岡本8、甲南大
方言の調査報告書
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方言の調査報告書

 西日本を中心に各地の方言を調査してきた甲南大文学部教授の都染(つぞめ)直也さん(60)のゼミの活動が30年目を迎え、30号となる報告書を出した。「甲南大方言研究会」の別名で、これまでに340人を超える学生が約1600地点、約3500人を調査。都染さんは「研究を通じ、あらためて兵庫の方言の多様性を実感した」と振り返る。(金井恒幸)

 都染教授は兵庫県姫路市出身。学習院大などで言語学を学び、1990年、甲南大に着任後、ゼミでの調査活動を始めた。開始当初はデータが少なかったという丹波、北播、北摂など県内の約3分の1の地域と、西は中国・山陰地方、東は北陸地方の一部地域からデータを収集。2017年度で調査を終え、18、19年度で、手書きのため未整理だった資料をまとめ、30号として刊行した。

 調査は2期に分かれ、1期(1990~2001年度)はテーマを「兵庫の多様性を探る」とし、主に県内の70代男性を対象に調べ、各集落に残る方言を地図にした。

 三木市と神戸市北区の一部で「じゃんけん」を例に調べると、ほぼ中学校校区ごとに「シューケン」「チューケン」「イッサン」などと、言い方が分かれ、地域による違いが浮き彫りに。それが高校になると違いがあいまいになる。他地域の生徒と交流が盛んになることで、独自性が失われたのではないかとみる。

 2期(02~17年度)は「県外からの影響、変化を知りたい」。西は島根や広島、東は福井まで、JR沿線を中心に調べた。中学生、40代、70代の3世代の男女から聞き、地域・年齢による分布を図表にまとめた。

 この調査では、兵庫とそれ以外の差に着目。例えば兵庫と中国地方で「来ない(コナイ)」の言い方を検証したところ、中国地方は「コン」でほぼ統一されているのに対し、兵庫県南部は西から東へ「コーヘン」「キヤヘン」「ケーヘン」などと変化。「兵庫は中国地方と比べて人の動きが激しいため、方言の変化が多様なのでは」と都染さん。一方、兵庫でも若い世代は市町に関係なくほぼ「コーヘン」だった。

 全体を通し苦労したのは、協力者探し。その土地で生まれ育った人を見付けたいが、成人女性の場合、結婚で他地域に出るか、逆に転入してきた人も多い。また協力者も最初は緊張して標準語を話すため、学生が時間をかけて打ち解け、方言を聞き出した。

 近年、若い世代ほど方言を使わず、地域間の多様性が失われつつあるが、「言葉は常に変わり、変わることは運命」と都染さん。ただ、「日頃、言葉を空気や水のように当たり前と思って使っているが、時には大切なものとして気にかけてほしい」という。その気付きの助けとなるのが方言だと説明する。

 今後はなぜ違いが出るのかなど理由の分析を進めるとともに、各市町別の情報を合わせ、広域的な言語地図作りも進めたいという。

 A4判255ページ。報告書は同大の図書館などで公開している。

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