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父から受け継いだ田んぼを背に、15年前を思い返す倉尾和実さん=淡路市
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父から受け継いだ田んぼを背に、15年前を思い返す倉尾和実さん=淡路市
亡くなった父福住さん
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亡くなった父福住さん

 深刻な被害が次々と明らかになる台風19号。浸水した田畑の映像は、兵庫県内で26人が犠牲になった2004年の台風23号と重なる。父福住(ふくみ)さん=当時(73)=を亡くした淡路市の倉尾和実さん(62)は、当時を振り返り「安全確保を最優先にしないといけない」と心に決めている。(吉田みなみ)

 15年前の10月20日午後3時ごろ。台風により風雨が強まる中、福住さんは一人で自宅を出た。水浸しになった田んぼを見に、くわを担いで坂を下りた。

 だが、2時間たっても戻らない。福住さんの妻みよ子さんが、必死に雨の中を捜したが見つからない。消防団も加わって捜索し、日付が変わるころに遺体を見つけた。田んぼの上にうつぶせで倒れていたという。

 「お父さんが見つかった」。電力会社に勤め、南あわじ市の変電所で停電対応に追われていた和実さんは、そう連絡を受けて実家に戻った。客間に敷かれた布団に、動かなくなった父が横たわる。額には深い傷。「一瞬、目の前が真っ暗になった」と振り返る。

 葬儀には約300人が参列し、会場前に列を作った。「どこにでもいる父親だったけど、地域の人にこんなに慕われていたんや」。自分より他人のことを思う性格で、自治会長なども引き受けた。その年の9月、西日本などを襲った台風21号で坂道の端が崩れた時も「気を付けてもらわんと」と竹の棒を立てて注意を呼び掛けた。

 父の死後、和実さんは仕事を続けながら稲作を継いだ。繁忙期には手伝ってきたが、やってみると大変なことばかり。年中草刈りは欠かせず、夏場は水を張るため、点在する計1500平方メートルの田んぼを回る。「農業用機械の扱いなどは、ほぼ素人。近所の人に助けてもらって、何とか頑張ってこられた」と振り返る。

 地域に慕われた父の背中を追い、手探りで農業と向き合ってきた15年。小中学生だった3人の子どもは就職。みよ子さんは特別養護老人ホームに入り、妻と長女の3人で暮らす。「変わりなく、頑張っとるよ」。20日には墓前でそう報告する。

【2004年台風23号】10月20日に高知県へ上陸後、淡路島を通って本州を横断した。死者・行方不明者は98人。兵庫県は但馬、淡路を中心に死者26人と最も多く、家屋被害も全半壊が7925棟、床上・床下浸水は1万803棟に上った。但馬では円山川や出石川が決壊し、市街地も水路や支流があふれる「内水氾濫」で水没。京都府舞鶴市では道路の冠水で観光バスが水没し、乗客らは屋根の上で一夜を明かした。

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