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昨年12月に再婚した中正三郎さんと雪子さん。三郎さんが名誉駅長を務めるJR加古川線日岡駅で=加古川市加古川町大野(撮影・後藤亮平)
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昨年12月に再婚した中正三郎さんと雪子さん。三郎さんが名誉駅長を務めるJR加古川線日岡駅で=加古川市加古川町大野(撮影・後藤亮平)

 結婚してウン十年、子どもたちは家から巣立ち、再び夫婦水入らずの暮らしが始まる-。しかし、それを新婚のように楽しめる人ばかりではない。連れ合いに先立たれ、あるいは離婚して新たな伴侶と第2の人生に踏み出す人がいれば、家族に内緒で出会いを探す人もいる。人生経験を積み重ねた男と女が、パートナーに求めるものとは? シニア世代の恋愛事情、聞いてみました。

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 JR加古川線の日岡駅(兵庫県加古川市)。レトロな駅舎の前で出迎えてくれたのは、元JR職員で今はボランティアとして「名誉駅長」を務める中正三郎さん(74)と、妻の雪子さん(67)=加古川市。水色のトップスにジーンズでコーディネートをそろえ、手をつなぐ姿もごく自然だ。「出かける時も、おやすみの時も握るんです」と雪子さんが顔を赤らめた。

 自他共に認める仲良し夫婦だが、実は昨年12月に結婚したばかり。出会いはその4カ月前、三郎さんの“ナンパ”だった。

 「彼女を見た時、運命の糸を感じた」

 5年前、先妻に先立たれた三郎さんは1人暮らしの寂しさと大変さが身に染みていた。料理や洗濯もままならず、出来合いの弁当は飽きた。パック旅行に参加しても「周りはペアばかり。仲居さんが気の毒がってお酌をしてくれるのが、もう惨めで」。先妻の遺品の中に「また料理上手な女性と一緒になってね」という手紙を見つけ、涙があふれた。日岡駅で高齢者向け体操教室や交流サロンを開くなど地域で活躍を広げる一方、心は自然に新たなパートナーを求めていた。駅前をおしゃべりしながらウオーキングしている女性グループに声を掛けたのは、そんな時だった。

 最初は全員と話していたが、輪の中にいた雪子さんが気になった。三郎さんは「独身だと聞き、がぜんモーションをかけていった」という。一方の雪子さんは、約25年前に離婚後、3人の息子たちを女手一つで育て上げ「もう結婚はこりごりのはずだったんだけど」。積極的な三郎さんに最初は戸惑いつつも、地域のために活動する姿に尊敬の念を抱き、次第に愛情に変わっていった。

 急速に仲を深めた二人。ただ、三郎さんが宿泊旅行に誘うと、雪子さんからは「ちょっと待って。息子たちに了解を得ないと」と返事があった。「籍を入れないお付き合いは、家族や近所の目も気になるから嫌だった。堂々と一緒にいたい」。それが本音だった。

 結婚を決めた時、二人が最も気に掛けたのは子どもたちのこと。三郎さんにも一男一女がいる。「入籍は責任。老いても病気になってもお互いに助け合い、残りの人生を幸せに生きる。そのためには互いの家族に理解し、祝福してほしい」。子どもたちは老親の突然の縁談にびっくりしながらも、幸せそうな姿を見て賛成してくれたという。二人は誕生日や父の日など節目ごとに集まる機会をつくり、信頼を得ていった。

 もうひとつ、三郎さんには「この年になると切実な」問題があった。先妻のためにつくったお墓だ。雪子さんとの新たなお墓は、子どもたちがお参りしやすい場所につくった。自分の死後は、それぞれのお墓に分けて納骨してもらう手はずを整えて落ち着いたという。

 入籍を機に、三郎さんの家で同居を始めた雪子さん。活動的な三郎さんにつられて行動範囲が広くなったといい、得意のコーヒードリップで交流サロンも手伝うようになった。三郎さんも「以前は着るものに気を遣わなかったけれど、彼女に洋服を選んでもらって見た目も若返った気がする」と照れる。

 まだまだ新婚ほやほやだが、二人が心掛けるのは「気持ちや感謝をちゃんと言葉で伝えること」。出会えて良かった、一緒にいられてうれしい、楽しい時間をありがとう-。「この年になってまさかこんな出会いがあるなんて。人生、今がすごく幸せ」と顔を見合わせた。(神谷千晶)

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