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ダークウェブ上の掲示板の投稿を確認する捜査員=兵庫県警本部
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ダークウェブ上の掲示板の投稿を確認する捜査員=兵庫県警本部

 一般的な検索エンジンでは見つからないインターネットの「ダークウェブ」が犯罪の温床になっている。海外の複数のサーバーを経由してアクセスするため利用者の特定が困難なことから、ダークウェブ上の掲示板には薬物やクレジットカード情報、銃器などの売買を持ち掛ける露骨な文章も目立つ。兵庫県警は、違法行為を示唆する書き込みなどを頼りに投稿や密売の摘発に力を入れるが、実態解明のハードルは高い。(那谷享平)

■「野菜」=大麻?隠語で投稿

 「野菜メインで活動しています g6500」。県警本部サイバー犯罪対策課の一室。ウイルス感染対策を施した専用パソコンの画面に掲示板サイトの投稿が映し出される。「『野菜』とは恐らく大麻のことですね。1グラム6500円ということでしょう」と捜査員が書き込みを解説する。

 投稿の下には連絡先とみられるメールアドレスも記載されていた。サイトのデザインは一般的な掲示板サイトと大きく変わらないが、政治やスポーツなどを話題にしたページに混じり、違法性が疑われる投稿が無数に並ぶ。

 こうしたサイトがあるのは、インターネット上のダークウェブと呼ばれる空間。ダークウェブは「クローム」など一般的な閲覧ソフトでは見ることができず、専用のソフトが必要だ。国家の監視を回避して機密を暴露したり情報交換したりする目的で利用されてきた。

 捜査員は「ここ10年ほどで、違法な物品の取引にダークウェブが使われる例が急増した。今では一般の人にも珍しい存在ではなくなってきている」と指摘。コンピューターウイルス感染の危険性が高く、通信速度は不安定だが、アクセスの痕跡が残らない点が犯罪者たちを引きつけているという。

■転売の個人情報経路不明

 今年8月、兵庫県警サイバー犯罪対策課などが、割賦販売法違反の疑いで、無職の男(24)=大阪市=を逮捕した。ダークウェブ上で密売人と接触し、第三者のクレジットカードの名義やカード番号、有効期限などの情報を5千円で購入したとして、起訴された。そのカード情報を使ってネット通販でゲーム機などを購入、転売して利益を得ていたという。

 捜査関係者によると、悪用したクレジットカード情報は男以外からも複数回、不正に使われた形跡があった。カードの名義人はクレジット会社から連絡を受けるまで、情報流出の被害に気付いていなかったという。

 捜査員は「大量のカード情報が、ダークウェブで連絡を取り合う犯罪者たちの間で転売を繰り返されている」と指摘。男について「経歴からはパソコンに精通しているようには見えない」とし、ダークウェブの悪用法が徐々に広く知れ渡っている現状に危機感を抱く。

 今回の事件で県警は、サイバーパトロールで見つけた投稿の文言の内容などを精査し、男を特定。ただ、カード情報の流出経路や売り手は今も分かっていない。捜査関係者によると、ハッキングのほか、偽の通販サイトや企業からのメールなどに誘導して情報をだまし取る「フィッシング」などで流出した可能性が考えられるという。

 県警サイバー犯罪対策課は「まず怪しいサイトの利用は控えることが第一。クレジットカードの利用明細を小まめにチェックするなどし、犯罪被害に遭わないようにしてほしい」と呼び掛けている。

     ◇     ◇

【ダーク(闇)ウェブ】 ネットの全体像は氷山に例えられ、検索でみつかる一般サイトは「サーフェス(表層)ウェブ」、パスワードで守られる企業のデータベースなどは「ディープ(深層)ウェブ」と呼ばれ、最深部がダークウェブ。「Tor(トーア)」といった匿名化ソフトを使わないと接続できない。匿名性が高いため検索が難しく、人権活動家が国の迫害から逃れるのに利用する一方、違法薬物や個人情報、コンピューターウイルスの売買にも多く使われる。各国の警察が監視を強め、摘発されるサイトもあるが、次々と新たに開設され、犯罪の温床となっている。

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