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レンコン畑の前で話す竹村昇さん(右)と柴折史昭さん=徳島県鳴門市
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レンコン畑の前で話す竹村昇さん(右)と柴折史昭さん=徳島県鳴門市
神戸新聞NEXT
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 大きな茎が、緑色に濁った広大な水面を覆う。徳島県鳴門市大麻町。「ここに立派なレンコンが育っています」。コウノトリ定着推進連絡協議会の会長を務めるレンコン農家の竹村昇さん(67)が胸を張る。

 レンコン畑が広がる周辺では20~30羽のコウノトリが生息し、田畑の中で餌を探したり、電柱にたたずんでいたり。兵庫県豊岡市内と同じような光景が見られる。

 レンコン畑では年中、水を浅く張る。農家が有機や減農薬にも取り組んでいたことで、カエルや小さな魚など生き物が豊富に生息。知らず知らずのうちに、コウノトリの餌場に適した環境になっていた。

 そこへ2015年、但馬からやって来た2羽のコウノトリが電柱に営巣。突然の“来客”に地元は驚いた。

 当時、徳島県職員で農林水産の担当をしていた同協議会の柴折史昭さん(62)は、レンコン畑に降り立つコウノトリを見て直感した。「これは好機だ」

 急いで県や市、地元農家、大学などで同協議会を立ち上げ、コウノトリの郷(さと)公園(豊岡市祥雲寺)の協力を仰ぎながら保護活動を始めた。17年には豊岡市周辺以外で初めてのひなが誕生し、3年連続で巣立っている。

 環境に優しい農法の独自ブランド「コウノトリおもてなし」を確立し、レンコンは関東への出荷などにつながった。竹村さんは「コウノトリに選んでもらったという自信が地元を元気づけたんです」と、感謝する。

 野外コウノトリは全国に飛来し、新たな命を育み始めた。兵庫県外の繁殖地は今年、福井県坂井市や鳥取市など最多の5府県6カ所に増えた。

 同公園が中心となりコウノトリの飼育施設や野生復帰に取り組む自治体などでつくる全国組織を13年に結成。兵庫県外の繁殖地での定着に向けた支援体制を整えた。

 同公園の江崎保男園長(67)は「コウノトリが飛来先で定着できるよう中継ぎ役を担いたい」と力を込め、全国各地に繁殖地ができる次のステージに向けて歩みを進める。

 出発点の豊岡市内ではコウノトリを目にすることは珍しくなくなった。それに伴って同公園が開園した20年前の熱気も失われている。豊岡では、コウノトリが生息できる環境に戻ったのだろうか。中貝宗治市長は否定する。「川や水路に魚があふれていたという年配の方の証言のようにはなっていない。そんな命に満ちた環境で子どもたちに育ってもらいたい」

 「野に帰す」-。コウノトリとの約束を果たしたその時、人間にとっても豊かな土地になると信じて。(石川 翠)

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